第115回 看護師国家試験 午後 問84 解説
📝 問題
急性膵炎で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
2・5
💡 解説
✅ 初発症状は上腹部痛で、重症度判定には造影CTが重要である。
急性膵炎は、膵酵素が膵臓の内部で活性化して自己消化を起こす疾患である。最初に現れるのは持続する上腹部痛(心窩部痛)で、背部へ放散し、前屈位(体を丸める姿勢)で軽減するのが特徴である。悪心・嘔吐を伴い、飲酒や脂肪の多い食事の後に発症することが多い。
重症度の判定には、9項目の予後因子(ショック・呼吸不全・BUN上昇・LDH上昇・血小板減少・低カルシウム血症・CRP高値・全身性炎症反応症候群〈SIRS〉の基準・年齢70歳以上など)と、造影CTグレード(膵の造影不良域=壊死の範囲と炎症の膵外進展度)を用いる。 造影CTは壊死の有無を評価できる方法であり、重症度判定に不可欠である。
治療は保存的治療が基本で、絶飲食と十分な初期輸液、そして十分な除痛を行う。手術は感染性膵壊死など限られた場合に検討されるもので、基本治療ではない。
- 1
基本的な治療は手術である。不正解
急性膵炎の基本治療は保存的治療で、絶飲食、十分な初期輸液、除痛、必要に応じた蛋白分解酵素阻害薬・抗菌薬の投与が中心である。手術(あるいは経皮的・内視鏡的ドレナージ)が検討されるのは、感染性膵壊死や膵膿瘍など合併症を生じた場合に限られる。胆石性膵炎で胆管炎を伴う場合は、緊急の内視鏡的処置が行われる。
- 2
初発症状は上腹部痛である。正解
初発症状は持続する上腹部痛(心窩部痛)で、しばしば背部に放散する。仰臥位で増強し、膝を抱えるような前屈位で軽減するのが特徴で、悪心・嘔吐を伴う。
- 3
鎮痛薬の投与は禁忌である。不正解
鎮痛薬の投与は禁忌ではなく、むしろ十分な除痛が治療の柱である。強い疼痛は循環動態を不安定にし呼吸を浅くするため、診断がついたら速やかに鎮痛を行う。かつてモルヒネはオッディ括約筋を収縮させるとして避けられたが、現在は必要な鎮痛を我慢させないことが優先される。
- 4
血中アミラーゼ値が低下する。不正解
膵の腺房細胞が壊れて酵素が血中に漏れ出すため、血中アミラーゼは低下ではなく上昇する。発症後数時間で上昇し2〜3日で正常化するため、受診が遅いと正常値のこともある。リパーゼは膵への特異性が高く高値が長く続くので、診断に有用である。
- 5
重症度判定には造影CTが重要である。正解
造影CTでは、膵の造影される部分と造影されない部分(壊死)を区別でき、炎症が膵外のどこまで及んでいるかも評価できる。この所見からCTグレードを判定し、予後因子スコアと合わせて重症度を決める。
📚 国試でよく狙われるところ
- 急性膵炎の診断は、①上腹部の急性腹痛発作と圧痛、②血中または尿中の膵酵素の上昇、③画像所見のうち2項目以上を満たし、他の膵疾患や急性腹症を除外することによる
- 主な原因はアルコール(男性に多い)と胆石(女性に多い)で、この2つが大半を占める。ほかに特発性、高トリグリセリド血症、ERCP後、薬剤性がある
- 重症の徴候として、側腹部の紫斑(グレイ・ターナー徴候)、臍周囲の紫斑(カレン徴候)がみられることがある
- 主な合併症=膵仮性嚢胞、感染性膵壊死、急性呼吸窮迫症候群〈ARDS〉、播種性血管内凝固〈DIC〉、急性腎障害、高血糖、低カルシウム血症(脂肪壊死でカルシウムが消費される)
参考: 日本膵臓学会ほか「急性膵炎診療ガイドライン2021(第5版)」/厚生労働省 難治性膵疾患調査研究班「急性膵炎の重症度判定基準」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について