第111回 看護師国家試験 午後 問50 解説
📝 問題
乳癌の患者に対する抗エストロゲン薬の副作用はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 抗エストロゲン薬の副作用は、ほてりである。
抗エストロゲン薬(タモキシフェンなど)はエストロゲン受容体を阻害して、エストロゲン依存性乳癌の増殖を抑える。 エストロゲン作用が低下することで、更年期様症状であるほてり(ホットフラッシュ)・発汗・のぼせが代表的な副作用として現れる。
他の選択肢は別の薬でみられる副作用である。 低血糖は糖尿病治療薬などでみられるもので、抗エストロゲン薬の典型的副作用ではない。 肺線維症はブレオマイシンやアミオダロンなどで問題となる副作用で該当しない。 末梢神経障害はタキサン系(パクリタキセル等)や白金製剤、ビンカアルカロイドなどでみられる副作用であり、抗エストロゲン薬の主要な副作用ではない。 なお抗エストロゲン薬では子宮体癌・血栓症のリスク上昇も重要な副作用として押さえておく。
覚え方は「抗エストロゲン薬=エストロゲンを下げる→更年期症状(ほてり)」。 加えて子宮体癌・血栓のリスクに注意する。
タモキシフェンとは
エストロゲンの働きをさえぎる飲み薬。ホルモン受容体陽性の乳癌で、閉経の前後を問わず使われる。
エストロゲン受容体とは
細胞にあるエストロゲンの受け皿。ここにエストロゲンが結びつくと癌細胞が増えるため、受け皿をふさぐ薬が効く。
- 1
低血糖不正解
低血糖は糖尿病治療薬などの副作用で、抗エストロゲン薬の典型ではない。
- 2
ほてり正解
エストロゲン作用低下により更年期様のほてり(ホットフラッシュ)が生じる。
- 3
肺線維症不正解
肺線維症はブレオマイシン等の副作用で該当しない。
- 4
末梢神経障害不正解
末梢神経障害はタキサン系・白金製剤等の副作用で、抗エストロゲン薬の主要副作用ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
乳癌は、薬の副作用・術後の看護・自己検診が入れ替えて問われる。薬の名前と副作用を対にして覚えよう。 タモキシフェンの重要な副作用はホットフラッシュ・子宮体癌・静脈血栓塞栓症。不正性器出血や下肢の腫脹・疼痛は受診を促すサインとして指導する。
- アロマターゼ阻害薬は閉経後に用い、骨粗鬆症・関節痛に注意する。
- 抗癌薬の特徴的な副作用=アンスラサイクリン系→心毒性、ブレオマイシン→肺線維症、シスプラチン→腎障害・強い悪心、ビンクリスチン→末梢神経障害・便秘、シクロホスファミド→出血性膀胱炎。
- 乳癌術後は患側上肢のリンパ浮腫に注意し、患側での採血・血圧測定・重い物を持つことを避ける。
- 乳癌の自己検診は月経終了後4〜7日ごろ(閉経後は毎月同じ日)に行う。
| サブタイプ | 特徴 | 主な薬物療法 |
|---|---|---|
| ホルモン受容体陽性 | ER・PgRが陽性 | 内分泌療法(閉経前:タモキシフェン、LH-RHアゴニスト/閉経後:アロマターゼ阻害薬) |
| HER2陽性 | HER2が過剰発現 | 抗HER2薬(トラスツズマブなど)+化学療法 |
| トリプルネガティブ | ER・PgR・HER2すべて陰性 | 化学療法が中心 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について