第111回 看護師国家試験 午後 問49 解説
📝 問題
前立腺癌について正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 前立腺癌では血清PSA値が高値となる。
前立腺癌は前立腺特異抗原(PSA)を産生し、腫瘍の存在により血清PSA値が上昇するため、PSAは診断・スクリーニング・経過観察の重要な腫瘍マーカーである。 血清PSA値が高値となることが、前立腺癌の特徴として正しい。
他の選択肢は前立腺癌の特徴と合わない。 前立腺癌は骨転移が多いことで有名だが、進行例では肺転移も比較的みられ、「肺転移の頻度は低い」とは言い切れない(骨・肺・肝などに転移する)。 前立腺癌は高齢男性に多く、患者の多くは60歳以上で、高齢になるほど増加する。 治療はアンドロゲン(テストステロン)を抑える内分泌療法(去勢療法・抗アンドロゲン薬)が中心であり、テストステロンは前立腺癌を増悪させるためテストステロン補充療法は禁忌で、正反対である。
覚え方は「前立腺癌=高齢男性・PSA高値・骨転移・ホルモン療法(アンドロゲンを下げる)」。 テストステロンは前立腺癌の燃料なので、補充ではなく遮断が治療になる。
PSA〈ピーエスエー〉とは
前立腺が作るタンパク。血液中の値が高いと前立腺の病気を疑う。
腫瘍マーカーとは
癌があると血液や尿で増える物質。値の変化から診断の手がかりを得たり、治療の効果をみたりする。
- 1
肺転移の頻度は低い。不正解
前立腺癌は骨転移が有名だが肺転移もみられ、頻度が低いとは言い切れない。
- 2
血清PSA値が高値となる。正解
腫瘍がPSAを産生するため血清PSA値が高値となり、診断・経過観察の指標となる。
- 3
患者の多くは60歳未満である。不正解
前立腺癌は高齢男性に多く、患者の多くは60歳以上である。
- 4
テストステロン補充療法が行われる。不正解
テストステロンは前立腺癌を増悪させるため補充は禁忌。抑制する内分泌療法を行う。
📚 混同しやすいので注意
前立腺肥大症と前立腺癌は、発生する場所と初期症状を入れ替えて問われる。まず、どこから発生するかの違いを押さえよう。 前立腺肥大症は前立腺の内腺(移行領域)から、前立腺癌は外腺(辺縁領域)から発生することが多い。肥大症は早期から排尿症状を来すが、癌は早期には無症状のことが多い。
- 診断はPSA→直腸診・MRI→前立腺生検の流れ。PSAは前立腺肥大症や前立腺炎でも上昇するため、高値=癌ではなく、確定には生検が必要になる。
- 治療は手術(前立腺全摘除術)・放射線療法・内分泌療法・監視療法を、病期・年齢・全身状態から選択する。
- 前立腺全摘除術後の主な合併症は尿失禁と勃起障害。骨盤底筋訓練で尿失禁の改善を図る。
- 内分泌療法の副作用=ほてり(ホットフラッシュ)・性機能低下・骨粗鬆症・筋力低下・脂質異常。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について