第110回 看護師国家試験 午後 問95 解説
📝 問題
Aさん(47歳、女性、会社員)は月経不順と月経時出血量の増加、下腹部痛のため受診した。Aさんは、経腟超音波検査で異常所見が認められ、その後の精密検査で子宮体癌と診断されて準広汎子宮全摘出術と両側付属器(卵巣、卵管)切除術を受けた。術後の経過はよく、排尿障害もなく順調に回復していた。術後12日目のバイタルサイン測定時に「身体のほてりがあり、急に汗が出るようになったりして、夜もよく眠れません。そのためかイライラします」と看護師に訴えた。 Aさんに出現している症状の原因はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 両側卵巣摘出によるエストロゲンの急激な減少が、ほてり・発汗・不眠などの更年期様症状を引き起こす。
Aさんは両側付属器(卵巣・卵管)切除術を受けており、卵巣からのエストロゲン分泌が急激に途絶えている。エストロゲンの減少は自律神経の調節を乱し、のぼせ・ほてり(ホットフラッシュ)・発汗・不眠・イライラといった血管運動神経症状・精神症状を引き起こす。これがいわゆる外科的閉経(術後の更年期様症状)である。
自然閉経ではエストロゲンが数年かけて緩やかに低下するのに対し、両側卵巣摘出では一気に低下するため症状が強く出やすい。術後12日目という時期に出現したAさんの訴えは、この外科的閉経による症状として典型的である。
他のホルモンはいずれもこの症状の主因ではない。 卵巣摘出=エストロゲン欠乏、と因果でつないで押さえよう。
外科的閉経とは
手術で両側の卵巣を取り除き、月経が止まること。ホルモンが一気に減るため症状が強く出やすい。
ホットフラッシュとは
急に顔や上半身が熱くなり、汗が出る症状。エストロゲンの減少で自律神経の調節が乱れて起こる。
- 1
エストロゲンの減少正解
両側卵巣摘出によりエストロゲンが急減し、ほてり・発汗・不眠などの更年期様症状が生じる。
- 2
プロラクチンの減少不正解
プロラクチンは乳汁分泌に関与するホルモンで、本症状の原因ではない。
- 3
アンドロゲンの増加不正解
アンドロゲンの増加ではこれらの症状は説明できず、卵巣摘出でむしろ性ホルモンは低下する。
- 4
オキシトシンの増加不正解
オキシトシンは子宮収縮・射乳に関与するホルモンで、本症状とは無関係。
- 5
プロゲステロンの増加不正解
プロゲステロンも卵巣摘出で減少する側であり、増加による症状ではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
両側卵巣摘出による外科的閉経では、自然閉経より急激に症状が現れる。 どのホルモンが減って何が起こるかをつないで問われる。「エストロゲンが急に減る→ほてり・不眠→長期には骨がもろくなる」と時間の流れで追うと結びつく。
- 血管運動神経症状=ほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)・発汗・動悸
- 精神症状=不眠・イライラ・抑うつ・不安
- 長期的には骨粗鬆症と脂質異常(LDL上昇・HDL低下)のリスクが高まる
- ホルモン補充療法(HRT)が有効なことがあるが、乳癌やエストロゲン依存性腫瘍、血栓症の既往などでは慎重投与・禁忌となる
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について