第110回 看護師国家試験 午後 問89 解説
📝 問題
神経性無食欲症で正しいのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
4・5
💡 解説
✅ 神経性無食欲症ではボディイメージの歪みがあり、二次性徴前発症では初経が遅れる。
神経性無食欲症(神経性やせ症)は、体重増加への強い恐怖と自己の体型・体重に関する認知の歪み(ボディイメージの歪み)を特徴とする摂食障害である。 実際にはやせているにもかかわらず「太っている」と感じるのが典型で、極端な食事制限により著しい低体重をきたす。
また、低栄養によりゴナドトロピン分泌が低下し、女性では無月経を生じる。第二次性徴の発現前に発症すると性成熟が妨げられ、初経が遅れる(原発性無月経)。
過食と嘔吐を繰り返すのは主に神経性過食症の特徴で、無食欲症の必須所見ではない。腸管の吸収不全は病態の本質ではなく、飢餓状態では通常男性の性欲は亢進せず低下する。
ボディイメージとは
自分の体つきについて本人がもっている感じ方。実際の体型とずれることがあり、神経性やせ症では極端に食い違う。
ゴナドトロピンとは
脳の下垂体から出て卵巣や精巣を働かせるホルモン。低栄養で分泌が落ちると月経が止まる。
- 1
過食と嘔吐を繰り返す。不正解
過食と嘔吐を繰り返すのは主に神経性過食症の特徴で、無食欲症の必須所見ではない。
- 2
腸管で吸収不全がある。不正解
腸管の吸収不全は本疾患の本質的病態ではなく、やせは主に摂取不足による。
- 3
男性では性欲が亢進する。不正解
飢餓・低栄養状態では性欲は一般に低下し、亢進はしない。
- 4
ボディイメージの歪みがある。正解
自己の体型・体重に関する認知の歪み(ボディイメージの歪み)が特徴である。
- 5
第二次性徴の発現前に発症すると初経は遅れる。正解
第二次性徴発現前に発症すると性成熟が妨げられ、初経が遅れる。
📚 ここも一緒におさえておこう
神経性無食欲症(神経性やせ症)では低体重による全身の合併症に注意する。 心理面と身体面の両方が問われるので、「太っていると感じる心」と「やせが体に起こす変化」を分けて覚えよう。
- 身体所見=徐脈・低血圧・低体温・無月経・産毛の増生・浮腫・末梢冷感
- 検査=低カリウム血症(嘔吐・下剤乱用による)、肝機能異常、骨密度の低下
- 急激な栄養補給はリフィーディング症候群(低リン血症・不整脈・心不全)を招くため、少量から慎重に開始する
- 神経性過食症との違い=やせ症では著しい低体重が必須で、過食症は正常体重のことが多い
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について