第110回 看護師国家試験 午前 問99 解説
📝 問題
A さん(92歳、女性)は、脳梗塞の後遺症のため特別養護老人ホームに入所し、看取りの段階にある。3日後、A さんは声かけに全く反応しなくなったため、看護師は死期が迫っていると判断した。 看護師が観察するA さんの状態はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 死期が迫った状態では下顎呼吸の出現がみられる。
臨死期(死が数時間から数日以内に迫った時期)には、呼吸中枢の機能低下により顎を上下させて口を開閉するような下顎呼吸が出現する。これは死が近いことを示す典型的な徴候であり、声かけに全く反応しなくなったAさんの観察項目として適切である。
臨死期にはチェーンストークス呼吸のような不規則な呼吸もみられ、循環・代謝機能の低下に伴い四肢冷感・チアノーゼ、血圧低下、意識レベルの低下が進む。 他の選択肢は臨死期の変化と合わない。尿量はむしろ減少し、流涎や下痢便が増えても死が近い手がかりにはならない。
下顎呼吸とは
亡くなる数時間前から現れることが多い呼吸。あえいでいるように見えるが、本人が苦しさを感じているわけではないとされる。
チェーンストークス呼吸とは
浅い呼吸から深く大きな呼吸へと変わり、そのあと数十秒の無呼吸になる、をくり返す呼吸。
- 1
尿量の増加不正解
臨死期は循環低下により尿量はむしろ減少する。
- 2
流涎の増加不正解
流涎の増加は死期に特徴的な徴候ではない。
- 3
下痢便の出現不正解
下痢便の出現は臨死期の典型徴候ではない。
- 4
下顎呼吸の出現正解
呼吸中枢機能低下による下顎呼吸は死が迫った典型的な徴候。
📚 国試でよく狙われるところ
死が近づいたときの徴候は、呼吸・循環・排泄・意識のどこに現れるかを入れ替えて問われる。区分と徴候を対にして覚え、最後に死の三徴候まで押さえよう。 家族にはこれらが自然な経過であることを事前に説明し、心の準備を支える。
- 呼吸=下顎呼吸、チェーンストークス呼吸、死前喘鳴(咽頭の分泌物によるゴロゴロ音)、無呼吸の出現
- 循環=血圧低下、頻脈のちに徐脈、四肢冷感・チアノーゼ、橈骨動脈が触れにくくなる、網状皮斑
- 排泄=尿量の減少(乏尿・無尿)、失禁
- 意識・感覚=傾眠から昏睡へ。聴覚は最後まで残るとされる
- 死の三徴候=心停止・呼吸停止・瞳孔散大(対光反射の消失)
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について