第115回 看護師国家試験 午後 問72 解説

一般看護の統合と実践✔ 監修済み

📝 問題

病院の医療安全管理者が行う与薬の事故防止対策で適切なのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ 個人ではなく与薬の業務プロセスそのものを見直す。

医療安全の基本は、人の注意力に頼る個人モデルではなく、エラーが起きても事故に至らない仕組みをつくるシステムモデルで考えることである。 医療安全管理者の役割は、報告された事例を集めて分析し、どこでエラーが起こりやすいのかを明らかにすることにある。 そのうえで、指示・準備・実施・記録という与薬の業務プロセスそのものを設計し直す。

責任追及は最も避けるべき対応である。処罰されるとわかれば報告は途絶え、組織は事故の芽を知る手立てを失う。 マニュアルを病棟ごとに作れば、応援や異動のたびにやり方が変わって新たなエラーを生むため、病院全体で統一した手順を定め、必要な部分だけを部署の特性に応じて補足する。 事例の共有は再発防止のために行うものなので、個人が特定されない形に加工し、共有範囲は必要最小限にとどめる。

  • 1

    与薬の業務プロセスを見直す。正解

    医療安全管理者は、報告されたインシデント・アクシデントを分析して要因を明らかにし、指示受け・薬剤の準備・患者確認・投与・記録という一連の業務プロセスを見直して、エラーが事故に至らない仕組みに改める。処方の電子化、注射薬のバーコード認証、ハイリスク薬の保管方法の変更などが具体策になる。

  • 2

    事故を起こした職員の責任を追及する。不正解

    個人の責任追及は報告をためらわせ、組織が事故情報を得られなくなる。医療安全では、故意や重大な逸脱を除いて非懲罰的に報告を受け付け、原因を仕組みの側に求めることが原則である。

  • 3

    病棟ごとに与薬マニュアルを作成する。不正解

    病棟ごとに異なるマニュアルがあると、応援勤務や異動のたびにやり方が変わり、かえってエラーの温床になる。与薬手順は病院全体で統一し、部署固有の事情(扱う薬剤や機器の違い)は統一手順を補足する形で規定する。

  • 4

    事故の対象となった患者の個人情報を病院内で共有する。不正解

    事例の分析・共有は必要だが、患者の個人情報を病院内で広く共有する必要はない。共有すべきは「どのような状況で、どの工程で、なぜ起きたか」であり、患者や当事者が特定されない形に加工したうえで必要な範囲に限って共有する。

📚 国試でよく狙われるところ

医療安全は、事故を防ぐ考え方と、その道具の名前がまとめて問われる。「人ではなく仕組みで防ぐ」を軸に覚えよう。 医療法により、病院・診療所等には医療安全管理体制の整備(指針の策定、委員会の開催、職員研修の年2回以上の実施、事故等の報告と改善方策の実施)が義務づけられている。

  • 与薬の6R=6つの「正しい(Right)」を確認すること。正しい患者・正しい薬剤・正しい目的・正しい用量・正しい用法(経路)・正しい時間
  • 対策の強さの順序:人に頼る対策(注意喚起・教育)は弱く、フールプルーフ(間違った操作ができない)・フェイルセーフ(間違えても危険にならない)といった仕組みの対策が強い。例=経腸栄養用の接続部に注射器がつながらない規格を採用する
  • RCA(根本原因分析)は、起きた事例をさかのぼって原因を探る手法。
  • それに対しFMEAは、実施する前に工程のどこで失敗しうるかを洗い出す手法。
  • インシデントレベル=レベル0(実施前に発見)〜レベル5(死亡)。レベル3b以上を有害事象として扱う

参考: 医療法第6条の12・医療法施行規則第1条の11(医療安全管理体制)/厚生労働省「医療安全管理者の業務指針および養成のための研修プログラム作成指針」/日本医療機能評価機構「医療事故情報収集等事業」

出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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