第115回 看護師国家試験 午後 問71 解説
📝 問題
看護手順の目的で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 看護手順は、誰が行っても一定水準のケアを提供するために作られる。
看護手順とは、個々の看護技術について必要物品・実施の順序・確認事項・注意点を具体的に明文化したものである。目的は看護行為を標準化し、実施者が誰であっても、また経験年数にかかわらず一定の水準と安全性が保たれるようにすることにある。
手順は個別性を高めるためのものではない。患者一人ひとりの状態に合わせた個別的な看護は、アセスメントに基づく看護計画で担保する仕組みになっている。 業務の負担軽減や時間短縮は手順が整うことで得られる副次的な効果ではあるが、それ自体が目的ではない。 優先度の判断は、その場の患者の状態を看護師がアセスメントして行う臨床判断であり、手順書が代わりに決めてくれるものではない。
手順は作って終わりではなく、最新の根拠(エビデンス)や制度改正に合わせて定期的に見直し、改訂する必要がある。
- 1
優先度の判断不正解
何を先に行うかという優先度の判断は、その時々の患者の状態・緊急度・重症度を看護師がアセスメントして下す臨床判断である。手順書は個々の技術の実施方法を示すもので、優先順位を決める道具ではない。
- 2
個別的な看護の促進不正解
手順はむしろケアを標準化するものである。個別性は看護過程(アセスメント→看護診断→計画→実施→評価)に基づく看護計画で担保し、手順を守りつつ患者の状態に応じて調整するという二段構えになる。
- 3
看護業務の負担の軽減不正解
手順が整備されると迷いや確認の手間が減り、結果として負担が軽くなる面はあるが、それは副次的な効果である。負担軽減を目的に手順を簡略化すれば安全性が損なわれる。
- 4
看護ケアの水準の保持正解
看護手順の目的は看護行為を標準化し、実施者や状況によってばらつきが生じないようにして一定の水準と安全性を保つことである。新人教育の到達目標や、業務の評価・改善の基準としても機能する。
📚 混同しやすいので注意
看護基準・看護手順・看護計画・クリニカルパスは、名前が似ているので役割を入れ替えて問われる。何を決めるものかで見分けよう。 手順を含む標準化の道具は、医療の質評価でいえばストラクチャー(整備されているか)とプロセス(実際に遵守されているか)の両面から評価される。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 看護基準 | 対象や疾患・状態ごとに、提供すべき看護の内容と到達すべき水準を示したもの |
| 看護手順 | 個々の看護技術について、必要物品・実施の順序・確認事項を具体的に示したもの |
| 看護計画 | 個々の患者のアセスメントに基づく個別的な計画(個別性を担う) |
| クリニカルパス | 疾患・治療ごとの標準的な経過を時系列で示した計画表。予定から外れた事例(バリアンス)を分析して改善につなげる |
参考: 日本看護協会「看護業務基準(2021年改訂版)」/系統看護学講座 看護管理
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について