第115回 看護師国家試験 午後 問58 解説
📝 問題
Aさん(70歳、男性)は1人で暮らしており、日常生活動作〈ADL〉は自立している。高血圧症で内服治療をしている。受診時にAさんから「最近、昼間に眠くなって、夜よく眠れない。どうしたらよいか」と看護師に相談があった。 Aさんの1日の過ごし方を図に示す。 Aさんへの看護師の説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 午前中の散歩で光を浴び日中の活動量を増やすことが、夜間の睡眠改善につながる。
高齢者の不眠では、まず概日リズム(体内時計)と日中の活動量を整えることが基本になる。朝の光を浴びると体内時計がリセットされ、その約14〜16時間後に眠気をもたらすメラトニンの分泌が高まるため、午前中の散歩は「夜になると眠くなる」流れをつくるうえで最も効果的である。歩行はADLが自立したAさんに無理なく取り入れられ、日中の活動量が増えることで眠りたい力(睡眠圧)も高まる。 午前中に散歩を取り入れるという説明が適切である。
加齢に伴い、睡眠は浅くなり中途覚醒・早朝覚醒が増える。「眠れない」からと臥床時間を延ばしたり午睡を長くとったりすると、かえって夜間の睡眠が分断される。薬に頼る前に、光・活動・入浴のタイミング・カフェインといった生活要因を調整するのが原則である。
- 1
午前中に散歩を取り入れる。正解
午前中に屋外で光を浴びながら歩くことで体内時計が整い、日中の活動量も増えて夜間の入眠と睡眠の深さが改善する。高血圧症で内服中のAさんにとって、適度な有酸素運動は血圧管理の面でも望ましい。
- 2
昼食後に入浴する。不正解
入浴は深部体温をいったん上げ、その後の低下に伴って眠気が生じるため、就寝の1〜2時間前が効果的である。昼食後の入浴は日中の眠気を強めて午睡の延長を招くうえ、食直後は血圧変動の面でも望ましくない。
- 3
午睡の時間を延ばす。不正解
午睡を長くとると夜間の睡眠圧が下がり、不眠を悪化させる。午睡は昼食後から15時までの間に30分以内が目安である。
- 4
夕食後は水分を摂らない。不正解
水分を制限すると脱水を招き、高齢者では血液の粘稠度が上がって脳梗塞・心筋梗塞のリスクとなる。夜間頻尿が気になる場合でも、日中に十分な水分を摂り、就寝直前の多量の飲水とカフェイン・アルコールを控える形で調整する。
📚 関連知識
高齢者の睡眠の特徴と、不眠に対する生活指導
- 加齢により深いノンレム睡眠が減り、中途覚醒・早朝覚醒が増え、就床時刻が早まる
- 眠くなってから床に就く。眠れないまま長く臥床しない
- 毎朝ほぼ同じ時刻に起床し、起床後に太陽の光を浴びる
- 午睡は15時前までに30分以内にとどめる
- 就寝前のカフェイン・アルコール・喫煙を避ける。アルコールは寝つきをよくするが睡眠を浅くする
- 睡眠薬を使う場合は転倒・ふらつき・持ち越し効果に注意し、自己判断で増量しない
参考: 厚生労働省「健康づくりのための睡眠ガイド2023」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について