第115回 看護師国家試験 午後 問50 解説
📝 問題
多発性筋炎と診断された成人の症状について正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 多発性筋炎では近位筋の筋力低下が生じ、物を持ち上げられなくなる。
多発性筋炎は骨格筋に炎症が起こる自己免疫性の疾患で、体幹に近い近位筋(頸部・肩甲帯・上腕・骨盤帯・大腿)が左右対称性に侵される。 そのため「腕が上がらず髪をとかせない」「重い物を持ち上げられない」「階段が昇れない」「椅子から立ち上がれない」といった訴えが特徴的である。手指や足関節を動かす遠位筋の筋力は比較的保たれる。
検査では血清CK(クレアチンキナーゼ)やアルドラーゼの上昇、筋電図の筋原性変化、筋生検での炎症細胞浸潤が診断の柱になる。 上眼瞼のヘリオトロープ疹や手指関節伸側のGottron〈ゴットロン〉徴候といった皮膚症状を伴うものは皮膚筋炎と呼ばれ、悪性腫瘍の合併に注意する。 いずれも間質性肺炎と嚥下障害の合併が予後を左右する。
ヘリオトロープ疹とは
上まぶたに出る赤紫色のむくんだ発疹。皮膚筋炎に特徴的な皮膚症状。
- 1
両頰に紅斑がある。不正解
両頰の紅斑(蝶形紅斑)は全身性エリテマトーデス〈SLE〉の特徴である。多発性筋炎は定義上、皮膚症状を伴わない。皮膚症状を伴う場合はヘリオトロープ疹やGottron〈ゴットロン〉徴候を呈する皮膚筋炎となる。
- 2
足関節が動かせない。不正解
足関節を動かすのは下腿の遠位筋であり、多発性筋炎では比較的保たれる。足関節が動かせない(下垂足)は腓骨神経麻痺など末梢神経障害を示唆する所見である。
- 3
物を持ち上げられない。正解
肩甲帯・上腕の近位筋が障害されるため、物を持ち上げる、腕を挙げて髪をとかす、洗濯物を干すといった動作が困難になる。下肢では階段昇降や立ち上がりが難しくなる。
- 4
温熱刺激で手指が白色になる。不正解
手指が白色から紫色、赤色へと変化するRaynaud〈レイノー〉現象は膠原病でみられるが、誘因は寒冷刺激であって温熱ではない。温めることはむしろ症状の予防・改善につながる。
📚 ここも一緒におさえておこう
多発性筋炎は、どの部位の筋力が低下し、その結果どの動作が難しくなるのかを結びつけて問われる。部位と動作を対にして覚えよう。
| 障害される部位 | 困難になる動作 |
|---|---|
| 頸部 | 枕から頭を持ち上げられない |
| 肩甲帯・上腕 | 髪をとかす、高い棚の物を取る、洗濯物を干す |
| 骨盤帯・大腿 | 階段の昇降、椅子からの立ち上がり、しゃがみ立ち |
| 咽頭・食道上部の筋 | 嚥下障害、むせ、誤嚥性肺炎 |
参考: 多発性筋炎・皮膚筋炎 診療ガイドライン/厚生労働省 指定難病(皮膚筋炎/多発性筋炎)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について