第115回 看護師国家試験 午後 問45 解説
📝 問題
がん性疼痛があり医療用麻薬を使用中の在宅療養者の家族への説明で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ オピオイド貼付剤は皮膚障害を防ぐため、交換のたびに前回と違う部位に貼る。
フェンタニルなどのオピオイド貼付剤は、同じ部位に繰り返し貼ると発赤・掻痒・びらんといった皮膚障害を起こしやすい。そのため交換のたびに貼付部位を変える(ローテーションする)よう指導する。貼付部位は前胸部・上腕・上背部・腹部など体毛が少なく平坦なところを選び、発熱や電気毛布・入浴で加温すると吸収が増えて過量投与になりうる点も併せて伝える。 貼付剤の交換時は前回とは違う場所に貼る、という説明が正しい。
他の選択肢は在宅での麻薬管理の原則を取り違えている。とくに、突出痛に対しては定時薬を前倒しするのではなくレスキュー・ドーズ(速放性製剤)を追加で使う、という原則は必ず押さえておきたい。
- 1
医療用麻薬は鍵のかかる棚で管理する。不正解
鍵をかけた堅固な設備での保管が麻薬及び向精神薬取締法で義務づけられているのは、医療機関や薬局など麻薬取扱者の業務所である。在宅療養者の自宅に同じ義務はなく、他の薬と区別し、小児やペット、来訪者の手が届かない場所で管理するよう指導する。
- 2
貼付剤の交換時は、前回とは違う場所に貼る。正解
同一部位への連用は発赤・掻痒・びらんの原因となるため、交換ごとに貼付部位を変える。貼った日時と部位を家族と一緒に記録しておくと、貼り忘れや重ね貼りも防げる。
- 3
医療用麻薬を紛失した場合は、保健所に届け出る。不正解
紛失に気づいたらまず処方した医療機関と調剤した薬局に連絡する。麻薬の事故(紛失・盗難など)を都道府県知事に届け出る義務は麻薬取扱者に課されたもので、患者・家族が保健所へ届け出る仕組みではない。
- 4
強い痛みを訴えたときは、定時の医療用麻薬の時間を早めて使用する。不正解
強い痛み(突出痛)にはレスキュー・ドーズとして速放性製剤を追加投与する。定時薬の時間を早めると次の投与までの間隔が空いて痛みの谷が生じ、必要な定時投与量の評価もできなくなる。
📚 関連知識
在宅での医療用麻薬管理で、家族に必ず伝えておく要点
- 残った麻薬は自己判断で廃棄せず、調剤した薬局または処方医療機関に返却する
- 副作用の三主徴は便秘・悪心嘔吐・眠気。便秘はほぼ必発で、下剤の定期内服を続ける
- 呼吸数の低下や強い眠気(傾眠)は過量のサイン。すぐに連絡するよう伝える
- 痛みを我慢させない。レスキューの使用回数と効果を記録し、定時量の見直しにつなげる
- 痛みに応じて適切に使用していれば依存や中毒にはならないことを説明し、誤解による自己中断を防ぐ
参考: 麻薬及び向精神薬取締法/厚生労働省「医療用麻薬適正使用ガイダンス」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について