第115回 看護師国家試験 午前 問59 解説

一般老年看護学✔ 監修済み

📝 問題

Aさん(89歳、女性)は災害によって自宅が損壊し、避難所で生活を始めた。看護師が面談を行うと「食欲がない。横になっても眠れず、すぐに目が覚めてしまう」と話し、元気がない様子である。避難所ではトイレと食事以外はほとんど動かずに過ごしている。Aさんには被災前の通院歴はなく、日常生活動作〈ADL〉は自立している。 看護師の対応で優先度が高いのはどれか。

✅ 正解

3

💡 解説

✅ 避難所での低活動による生活不活発病を防ぐため、軽い運動ができるよう環境を整えるのが最も優先度が高い。

Aさんは避難所でトイレと食事以外はほとんど動かない生活を送っており、食欲低下、入眠困難と中途覚醒、元気のなさが現れている。

高齢者がこうした低活動の生活を続けると、数日から数週で歩行能力や生活機能が急速に落ちる生活不活発病(廃用症候群)に陥る。そうなると避難所生活が終わっても、元の自立した生活には戻れなくなってしまう。

日常生活動作〈ADL〉が自立している今の段階で活動量を保つことが、最も優先される。

  • 1

    頑張るように言葉をかける。不正解

    気力が落ちている人への「頑張って」という励ましは、努力不足を指摘されたと受け取られ、負担になりやすい。まず話を聴き、つらさを受けとめる。

  • 2

    直ちに入院できる病院を探す。不正解

    通院歴がなく器質的疾患を示す所見もない段階で直ちに入院先を探すのは過剰。まず避難所での環境調整と活動性の確保を行い、経過をみる。

  • 3

    軽い運動ができるように環境を整える。正解

    正しい。低活動が続くと生活不活発病で歩行や生活機能が急速に低下する。ADLが自立している今のうちに動ける環境を整える。

  • 4

    睡眠薬の処方について医師と相談する。不正解

    高齢者への睡眠薬は転倒・せん妄・翌朝への持ち越しのリスクが高い。まず日中の活動量、光、騒音、寝床の環境といった薬に頼らない要因を整える。

📚 ここも一緒におさえておこう

災害時の高齢者支援は、「動かない」→「動けなくなる」の悪循環を断つことが軸になる。 避難所の環境をどこまで整えるかも、数値で問われる。

  • 生活不活発病は災害関連死や新たな要介護状態の大きな要因。避難所では体操・散歩・役割づくりを取り入れる。
  • 避難所での深部静脈血栓症(いわゆるエコノミークラス症候群)の予防=定期的な足首の運動と歩行、十分な水分摂取、弾性ストッキングの着用。
  • スフィア基準(人道支援の最低基準)の目安=1人あたりの居住空間3.5m²、トイレは20人に1基、水は1人1日15L。

参考: 内閣府(防災担当)「避難所における良好な生活環境の確保に向けた取組指針」/スフィアハンドブック(人道憲章と人道支援における最低基準)

出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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