第115回 看護師国家試験 午前 問13 解説
📝 問題
腹部の図を示す。 胆囊炎でみられる腹痛の典型的な部位はどれか。(別紙参照)
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 胆囊は右季肋部にあるため、①(右上腹部)の痛みが典型的
胆囊は肝臓右葉の下面に付着しており、体表では右季肋部(右上腹部)にあたる。図の①がこの部位を指しており、急性胆囊炎では同部位に持続する疼痛と圧痛が生じる。右肩や右肩甲骨部への放散痛を伴うことも多い。
診断の手がかりになるのがMurphy徴候で、右季肋部を圧迫しながら深呼吸をさせると、下降してきた胆囊が指に当たり、痛みのために吸気が途中で止まる。誘因は脂肪の多い食事で、発熱・悪心嘔吐を伴う。胆管の閉塞が加わると黄疸が出現し、発熱・黄疸・右季肋部痛のCharcot(シャルコー)3徴がそろえば急性胆管炎を疑う。
- 1
①正解
正しい。①は右季肋部(右上腹部)で、胆囊と肝臓が位置する部位。急性胆囊炎の典型的な疼痛部位である。
- 2
②不正解
②は左季肋部(左上腹部)。胃・脾臓・膵尾部がある部位で、急性膵炎や脾腫による痛みが出やすい。胆囊は正中より右にあるため該当しない。
- 3
③不正解
③は左下腹部。S状結腸・下行結腸の領域で、大腸憩室炎や便秘、過敏性腸症候群による痛みが出やすい。
- 4
④不正解
④は右下腹部。虫垂・回盲部の領域で、McBurney点の圧痛は急性虫垂炎を示唆する。虫垂炎は心窩部痛から始まり右下腹部へ移動するのが典型。
📚 関連知識
- 腹部の診察順序は視診→聴診→打診→触診。先に触診すると腸蠕動音が変化してしまうため、聴診を触診より先に行う。
- Blumberg徴候(反跳痛)と筋性防御は腹膜刺激症状で、腹膜炎への進展を示す。
- 急性胆囊炎の危険因子は「4F」=Female(女性)・Forty(40歳代)・Fatty(肥満)・Fertile(多産)。
| 部位 | 主な臓器 | 痛みを起こす代表疾患 |
|---|---|---|
| 右季肋部 | 肝臓、胆囊、右腎 | 急性胆囊炎、胆石発作、肝炎 |
| 心窩部 | 胃、十二指腸、膵頭部 | 胃潰瘍、急性膵炎、心筋梗塞(放散痛) |
| 左季肋部 | 胃、脾臓、膵尾部 | 急性膵炎、脾腫、脾梗塞 |
| 右下腹部 | 虫垂、回盲部、右卵巣・卵管 | 急性虫垂炎、卵巣囊腫茎捻転、異所性妊娠 |
| 左下腹部 | S状結腸、下行結腸、左卵巣・卵管 | 大腸憩室炎、便秘、潰瘍性大腸炎 |
| 臍周囲 | 小腸 | 腸閉塞、腸炎、虫垂炎の初期 |
参考: 日本腹部救急医学会・日本肝胆膵外科学会「急性胆管炎・胆囊炎診療ガイドライン(TG18)」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について