第115回 看護師国家試験 午前 問114 解説
📝 問題
次の文を読み112〜114の問いに答えよ。 Aさん(24歳、初妊婦、事務職)は妊娠8週であり、両親と3人で暮らしている。パートナー(24歳、大学院2年生)は就職が決まっており、Aさんと結婚する予定である。 Aさんは「特に朝の気持ち悪さがつらくて、あまり食べられません。ご飯が炊き上がるにおいだけで吐き気がします」と話す。妊娠経過は順調である。 Aさんの妊娠経過は順調で、妊娠38週3日に正常分娩で出産した。産褥経過と乳汁分泌は順調である。産褥4日の退院指導の際に「産後の性生活について教えてほしい」と話す。 Aさんへの説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 産後1か月健診で子宮の回復を確認するまでは性交渉を控えるのが最も適切。
産褥期は子宮内膜の再生(産褥4〜6週で完了)と会陰創部の治癒が進む途中であり、子宮口も完全には閉じていない。この時期の性交渉は子宮内感染や創部への負担につながるため、産後1か月健診で子宮復古・悪露・創部の治癒を確認するまでは控えるよう説明する。 「産後1か月の健診までは性交渉は避けましょう」という説明が適切である。
あわせて避妊の指導も必要になる。排卵は月経の再開より先に起こるため、「月経が来ていないから妊娠しない」という誤解を解いておくことが重要である。
- 1
「コンドームは不要です」不正解
産後も避妊は必要であり、コンドームは産後すぐから使えて性感染症の予防にもなる、産褥期の第一選択の避妊法である。
- 2
「基礎体温を計測して避妊しましょう」不正解
産褥期は排卵の再開時期が定まらず基礎体温も安定しないため、基礎体温法による避妊は信頼性が低い。授乳中はさらに不規則になる。
- 3
「月経が再開しなければ妊娠しません」不正解
排卵は月経の再開に先行して起こるため、初回月経の前に妊娠することがある。「月経が再開しなければ妊娠しない」は誤りである。
- 4
「産後1か月の健診までは性交渉は避けましょう」正解
子宮内膜の再生と会陰創部の治癒が完了する前の性交渉は感染や創部への負担となる。産後1か月健診で回復を確認するまで控えるのが適切な説明である。
📚 関連知識
産後の避妊法は、開始できる時期が方法ごとに異なる。授乳の有無も判断材料になる。
- 月経の再開は、非授乳婦で産後6〜8週頃、授乳婦では半年以上経ってからが多い
- 産褥期はエストロゲンの低下で腟の潤いが乏しく、性交痛が生じやすい
- 産後1か月健診では、子宮復古・悪露・創部の治癒・血圧・体重・精神状態(産後うつのスクリーニング)を確認する
| 方法 | 開始時期の目安 | 備考 |
|---|---|---|
| コンドーム | 性交渉の再開時から | 性感染症の予防にもなり、産褥期の第一選択 |
| 低用量経口避妊薬〈OC〉 | 非授乳婦は産後1か月以降、授乳婦は産後6か月以降が目安 | 産褥早期は血栓症のリスクが高く用いない |
| 子宮内避妊具〈IUD・IUS〉 | 産後4週以降(子宮復古を確認してから) | 授乳中でも使用できる |
| 授乳性無月経法〈LAM〉 | — | 完全母乳・無月経・産後6か月未満の3条件をすべて満たす場合に限られる |
参考: 産婦人科診療ガイドライン産科編/低用量経口避妊薬・低用量エストロゲン プロゲスチン配合剤 ガイドライン(日本産科婦人科学会)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について