第115回 看護師国家試験 午前 問104 解説
📝 問題
次の文を読み103〜105の問いに答えよ。 Aちゃん(10歳、女児)は両親と3人で暮らしている。3歳の時に気管支喘息と診断された。6歳までは喘息発作で年に1回は入院していたが、8歳から発作を起こすことはなくなり、定期受診が必要なくなった。ダニとハウスダストに感作がある。 救急外来で気管支拡張薬の吸入が行われたが、吸入後も呼吸数32/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉94%(room air)だったため、入院することになった。入院後、鼻カニューレによる酸素投与と点滴静脈内注射が開始され、1日3回のステロイド薬の静脈内注射と1日4回の気管支拡張薬の吸入が開始された。 翌日のバイタルサインは体温36.8℃、呼吸数22/分、心拍数94/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)で、酸素投与が中止された。聴診で喘鳴が聴取された。Aちゃんは「楽になった。お腹がすいた」などと勢いよく話し、笑顔が見られるようになった。 このときのAちゃんへの看護で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 喘鳴が残るこの時期は分泌物の排出を助けるのが適切である。
翌日のAちゃんは呼吸数22/分、心拍数94/分、SpO2 97%(room air)と改善し、酸素投与も中止された。「楽になった。お腹がすいた」と勢いよく話せるのは、呼吸仕事量が下がった証拠である。
一方、聴診では喘鳴が残っている。これは気道に分泌物(喀痰)がまだたまっているサインで、痰が出せずに残ると再び気道がふさがり、発作がぶり返してしまう。
急性期を脱した今こそ、水分摂取や体位の工夫、吸入後の排痰を促す時期である。
- 1
排痰を促す。正解
正しい。喘鳴が残るのは気道分泌物が貯留しているサイン。十分な水分摂取、吸入後の体位ドレナージやハフィングで排痰を促す。
- 2
胸式呼吸を促す。不正解
喘息では呼気が延長するため、腹式呼吸と口すぼめ呼吸を促すのが基本。胸式呼吸は換気効率が悪く、呼吸仕事量を増やす。
- 3
水分摂取を制限する。不正解
水分制限は逆効果。発作時は不感蒸泄の増加と摂取不足で脱水に傾きやすく、水分は喀痰を軟らかくして排出を助ける。
- 4
食事はとろみ食にする。不正解
Aちゃんに嚥下障害はなく、「お腹がすいた」と話せる状態である。とろみ食にする根拠はない。
📚 関連知識
喘息発作の看護は「急性期=呼吸を楽にする」「回復期=痰を出し、次の発作を防ぐ」と、時期で切り替える。
- 排痰の援助は食直後を避け、吸入や加湿の直後など痰がゆるむタイミングで行う。
- 学童期の子どもには、風車やシャボン玉など遊びを取り入れると呼気の練習が続けやすい。
- 喘鳴の消失・SpO2の安定・活気の回復が改善の指標。活気だけで判断せず、数値と併せて評価する。
| 場面 | 看護のポイント |
|---|---|
| 体位 | 起坐位・ファウラー位。横隔膜が下がり換気が改善する |
| 呼吸法 | 口すぼめ呼吸(呼気時の気道虚脱を防ぐ)、腹式呼吸 |
| 排痰 | 十分な水分摂取、吸入後の体位ドレナージ、ハフィング(フーッと強く息を吐く) |
| 環境 | 室温・湿度を保ち、ダニ・ハウスダスト・受動喫煙を避ける |
| 観察 | SpO2、呼吸数、喘鳴、陥没呼吸、チアノーゼ、会話・活気、痰の量と性状 |
参考: 小児気管支喘息治療・管理ガイドライン〈JPGL〉(日本小児アレルギー学会)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について