第113回 看護師国家試験 午後 問85 解説
📝 問題
成人の気管内吸引の方法で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・4
💡 解説
✅ 成人の気管内吸引では、実施前に咽頭部の分泌物を吸引し、カテーテルを気管分岐部に当てないよう挿入する方法が適切である。
気管内吸引の前に口腔や咽頭にたまった分泌物を吸引しておくと、それが気管へ垂れ込むのを防げる。 カテーテルが気管分岐部に当たると粘膜を傷つけて咳を誘発するため、当たらない位置までの挿入にとどめる。
吸引で問題になるのは低酸素と粘膜の損傷である。圧が強すぎる、カテーテルが太すぎる、吸引が長すぎるのは、いずれもその引き金になる。
kPa〈キロパスカル〉とは
圧力の単位。吸引器の圧を表すときに使う。1kPaは約7.5mmHgにあたる。
気管分岐部とは
気管が左右の気管支に分かれる場所。カテーテルが当たると強い咳が出て、粘膜も傷つきやすい。
- 1
実施前に咽頭部の分泌物を吸引する。正解
実施前に咽頭部の分泌物を吸引しておくと、気道への垂れ込みを防げるため適切である。
- 2
吸引圧は-40 kPa(300 mmHg)に調整する。不正解
吸引圧40kPa(300mmHg)は強すぎ、粘膜損傷を招く。成人では陰圧の強さを20kPa(150mmHg)以下にする。
- 3
気管チューブと同じ内径のカテーテルを用いる。不正解
気管チューブと同径のカテーテルは換気を妨げる。カテーテルの外径は気管チューブ内径の約1/2以下とする。
- 4
カテーテルは気管分岐部にあたらないように挿入する。正解
カテーテルは気管分岐部にあたると粘膜を傷つけるため、あたらないように挿入する。
- 5
カテーテルの挿入開始から終了まで30秒で行う。不正解
1回の吸引操作は低酸素を避けるため10〜15秒以内で行い、30秒は長すぎる。
📚 ここも一緒におさえておこう
気管内吸引は、いつ行うかと、どんな合併症があるかが繰り返し問われる。
- 吸引の合併症=低酸素血症・不整脈・気道粘膜の損傷・頭蓋内圧の上昇・迷走神経反射による徐脈
- 気管吸引は無菌操作(滅菌カテーテル)。口腔・鼻腔吸引とはカテーテルを分ける
- 閉鎖式吸引は人工呼吸を中断せずに行え、飛沫の飛散を減らせる
- 吸引は「時間を決めて行う」ものではなく、分泌物の貯留を示す所見(副雑音、努力呼吸、SpO2低下、気道内圧上昇)があるときに行う
| 項目 | 目安 |
|---|---|
| 吸引圧 | 20kPa(150mmHg)以下(陰圧) |
| カテーテルの太さ | カテーテル外径は気管チューブ内径の1/2以下 |
| 1回の吸引時間 | 10〜15秒以内 |
| 挿入の深さ | 気管分岐部に当たらない位置まで |
| 実施前後の観察 | 呼吸音、SpO2、呼吸数・パターン、分泌物の量・性状・色 |
参考: 気管吸引ガイドライン(成人の人工気道吸引)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について