第113回 看護師国家試験 午前 問100 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。 Aさん(70歳、女性)は夫(68歳)と2人で暮らしている。BMI 26で左股関節の変形性関節症のため関節可動域の制限と疼痛があり、外出時はT字杖を使用している。症状が強いときに消炎鎮痛薬を服用しているが、日常生活動作は自立している。Aさんは過去に転倒したことはないが、左右の下肢の差が3cmあり、立ち上がるときにふらつくことがある。自宅で座って過ごす時間が長い。Aさんは定期受診のため夫に付き添われて外来を受診した。 Aさんの症状の悪化を予防するための説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 変形性股関節症の生活指導として適切なのは体重を減らすことである。
変形性股関節症では、体重が関節にかかる負荷(メカニカルストレス)を増大させ、疼痛や軟骨のすり減りを進行させる。 Aさんは体格指数(BMI〈ビーエムアイ〉)26で過体重域にあり、減量は股関節への負荷を軽減し症状進行を抑える基本的な保存療法である。
安静にしすぎると筋力低下や関節可動域の低下を招く。負担を減らしながら活動性は保つのが生活指導の基本である。
- 1
運動はしない。不正解
適度な運動は筋力維持や関節可動域の保持に必要で、まったく運動しないのは廃用を招き不適切である。
- 2
減塩食をとる。不正解
減塩食は高血圧管理には有用だが、変形性股関節症の症状軽減には直接関係しない。
- 3
体重を減らす。正解
減量は股関節にかかる荷重負担を軽減し、疼痛や進行を抑える基本的な保存療法である。
- 4
家事は夫に任せる。不正解
家事をすべて夫に任せる必要はなく、負担を工夫しながら日常生活動作の自立を保つことが望ましい。
📚 国試でよく狙われるところ
日本の変形性股関節症は、発育性股関節形成不全や臼蓋形成不全を背景とする二次性が多く、中年以降の女性に好発する。
- 症状の進み方=初期は起立時や歩き始めの鼠径部痛、進行すると持続痛、可動域制限(あぐらや爪切り、靴下の着脱が困難)、脚長差、Trendelenburg(トレンデレンブルグ)歩行。
- 保存療法=減量、杖(患側と反対側の手に持つ)、水中歩行や自転車など関節に荷重をかけない運動、消炎鎮痛薬。
- 生活指導=和式から洋式へ(椅子・ベッド・洋式トイレ)、重い物を持たない、長距離歩行や階段の昇降を減らす。
- 保存療法で改善しない場合は人工股関節全置換術〈THA〉を行い、術後は脱臼予防の肢位・動作指導が必要になる。
参考: 変形性関節症の保存療法(減量・運動療法)に関するガイドライン
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について