第112回 看護師国家試験 午後 問40 解説
📝 問題
創傷治癒の成熟期の状態はどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 創傷治癒の成熟期には瘢痕を形成する。
創傷治癒は炎症期(止血・炎症)→増殖期(肉芽形成・上皮化)→成熟期(再構築)の段階を経る。成熟期(リモデリング期)ではコラーゲンが再構築されて瘢痕が形成・成熟し、組織の強度が徐々に高まる。 「瘢痕を形成する」が成熟期の状態である。
他の選択肢は、成熟期より前の段階で起こる現象である。マクロファージが壊死組織や異物を貪食して創内を清浄化するのは炎症期の現象である。基底細胞(表皮細胞)が創面を覆う上皮化や、肉芽組織の形成は増殖期に起こる。
肉芽組織とは
傷を埋めるために新しくできる、毛細血管とコラーゲンに富んだ赤い組織。ここが盛り上がってから、表面が上皮でおおわれる。
- 1
マクロファージが創内を清浄化する。不正解
マクロファージによる創内の清浄化は炎症期の現象である。
- 2
基底細胞が創面を覆う。不正解
基底細胞が創面を覆う上皮化は増殖期に起こる。
- 3
肉芽組織を形成する。不正解
肉芽組織の形成は増殖期の現象である。
- 4
瘢痕を形成する。正解
成熟期にはコラーゲンが再構築されて瘢痕が形成・成熟する。
📚 ここも一緒におさえておこう
創傷治癒は「どの時期の現象か」で問われる。下の表は起こる順に並べてあるので、名前を丸暗記せず順番でたどれるようにしておこう。
- 一次治癒は縫合創など創縁が密着した治癒で瘢痕が小さい。二次治癒は組織欠損を肉芽で埋めながら治るため瘢痕が大きい。
- 治癒を遅らせる因子=低栄養(低蛋白・亜鉛やビタミンCの不足)・糖尿病・ステロイド薬・喫煙・感染・局所の圧迫や乾燥。
- 創傷管理では、かさぶたを作らせず湿潤環境(モイストヒーリング)を保つのが原則。乾かさないほうが上皮化は早い。
| 時期 | 目安 | 主な現象 |
|---|---|---|
| ①炎症期(止血期を含む) | 受傷〜約3日 | 血小板による止血。好中球・マクロファージが壊死組織や細菌を貪食し創内を清浄化する |
| ②増殖期(肉芽形成期) | 約3日〜2週 | 線維芽細胞がコラーゲンを産生し、毛細血管新生とともに肉芽を形成。基底細胞が創面を覆う(上皮化) |
| ③成熟期(リモデリング期) | 約2週〜数か月〜1年 | コラーゲンが再構築され瘢痕が成熟し、創の強度が徐々に増す |
参考: 創傷治癒の過程(炎症期・増殖期・成熟期)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について