第112回 看護師国家試験 午後 問41 解説
📝 問題
成人への与薬方法で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下するのが正しい。
点眼は、下眼瞼を軽く下方に引いて下眼瞼結膜(結膜嚢)を露出させ、その中央に薬液を1滴滴下する。角膜に直接落とすと刺激や角膜損傷の恐れがあるため避ける。
他の選択肢は、入れる部位や扱い方が誤っている。成人の筋肉内注射は、以前は殿部が用いられたが、坐骨神経損傷のリスクから現在は中殿筋(殿部中殿筋部)や三角筋が推奨され、「大殿筋」は適切な部位とはいえない。坐薬は成人では肛門から約3〜5 cm(内肛門括約筋を越える位置)まで挿入する必要があり、1 cmでは浅く脱落しやすい。バッカル錠は臼歯と頬の間に含ませて口腔粘膜から吸収させる製剤で、かんで飲み込むと期待した効果が得られない。
結膜嚢とは
下まぶたを軽く引いたときにできる、まぶたの裏と眼球のあいだの袋状のすきま。点眼薬はここに落とす。
- 1
筋肉内注射は大殿筋に行う。不正解
成人の筋肉内注射は中殿筋や三角筋が推奨され、大殿筋は神経損傷のリスクから適切でない。
- 2
坐薬は肛門から1 cm挿入する。不正解
坐薬は成人では肛門から約3〜5 cm挿入する必要があり、1 cmでは浅く脱落しやすい。
- 3
バッカル錠は、かんでから飲み込む。不正解
バッカル錠は臼歯と頬の間で口腔粘膜から吸収させる製剤で、かんで飲み込むと効果が得られない。
- 4
点眼薬は下眼瞼結膜の中央に滴下する。正解
点眼薬は下眼瞼を引いて結膜嚢を露出させ、その中央に滴下する。
📚 混同しやすいので注意
引っかけは入れる場所と深さに来る。バッカル錠と舌下錠のように紛らわしい薬ほど、「どこへ・どれだけ」を薬の形と対にして覚えよう。
- 点眼薬を複数使うときは5分以上間隔をあけ、水性→懸濁性→油性・眼軟膏の順に用いる。
- 坐薬は体温で溶けるため冷所保存。息を吐いてもらいながら挿入すると括約筋が緩む。
| 方法 | 要点 |
|---|---|
| 点眼 | 下眼瞼を引いて結膜嚢の中央に1滴。点眼後は閉眼し涙嚢部を1〜2分圧迫する |
| 坐薬 | 成人は肛門から3〜5cm(内肛門括約筋を越える位置)まで挿入し、数分間肛門を押さえる |
| 舌下錠 | 舌下で溶かす。飲み込まない(薬が肝臓で分解される初回通過効果を受けずにすむ) |
| バッカル錠 | 臼歯と頬の間で溶かす。かまない・飲み込まない |
| 筋肉内注射 | 中殿筋(クラークの点・ホッホシュテッターの部位)や三角筋に45〜90度で刺入 |
参考: 基礎看護技術(与薬方法)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について