第112回 看護師国家試験 午前 問29 解説
📝 問題
多発性骨髄腫で腫瘍化しているのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 多発性骨髄腫で腫瘍化しているのは形質細胞である。
多発性骨髄腫は、抗体(免疫グロブリン)を産生する形質細胞が骨髄で単クローン性に腫瘍化・増殖する血液腫瘍である。異常な形質細胞が単一の免疫グロブリン(M蛋白)を大量に産生し、骨破壊による骨痛・病的骨折、高カルシウム血症、腎障害、貧血などを来す。
国試では多発性骨髄腫の病態(CRABと呼ばれる高カルシウム血症・腎障害・貧血・骨病変)とM蛋白が問われる。 形質細胞はB細胞が最終分化して抗体を産生する細胞であり、「抗体を作る細胞=形質細胞が腫瘍化」と押さえるとよい。 B細胞・T細胞・造血幹細胞は別の細胞であり、腫瘍化の主体ではない。
単クローン性とは
1個の細胞が増えてできた、まったく同じ性質の集団であること。骨髄腫では同じ抗体ばかりが大量に作られる。
- 1
B細胞不正解
B細胞は形質細胞へ分化する前段階のリンパ球で、多発性骨髄腫の腫瘍化の主体ではない。
- 2
T細胞不正解
T細胞は細胞性免疫を担うリンパ球で、多発性骨髄腫では腫瘍化しない。
- 3
形質細胞正解
抗体を産生する形質細胞が単クローン性に腫瘍化・増殖するのが多発性骨髄腫である。
- 4
造血幹細胞不正解
造血幹細胞はすべての血球のもとだが、多発性骨髄腫で腫瘍化する細胞ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
多発性骨髄腫は、検査所見・画像所見・症状・治療が一通り問われる。
- 検査所見:血清総蛋白の上昇とA/G比の低下、蛋白電気泳動でのMピーク、尿中のベンス・ジョーンズ蛋白(尿に出やすい抗体の断片)、赤沈の著明な亢進、末梢血での赤血球連銭形成
- 画像所見:骨が溶けて穴が開いたように見える頭蓋骨などの打ち抜き像、脊椎の圧迫骨折・病的骨折
- 症状:腰背部の骨痛、貧血による倦怠感、高カルシウム血症(口渇・便秘・意識障害)、腎障害、正常な免疫グロブリンの低下による易感染性
- 治療:プロテアソーム阻害薬・免疫調節薬などの薬物療法、自家造血幹細胞移植、骨病変にはビスホスホネートやデノスマブ
参考: 標準的な血液学(多発性骨髄腫の病態)
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について