第111回 看護師国家試験 午後 問66 解説
📝 問題
長期に大量飲酒をした後で、急に断酒した際にみられるのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 長期大量飲酒後の急な断酒でみられるのは振戦せん妄である
長期に大量飲酒していた人が急に断酒(または飲酒量を減らす)と、アルコール離脱症状が出現する。断酒後数時間〜48時間で手指の振戦・発汗・頻脈・不安・けいれんなどが現れ、断酒後およそ48〜72時間ころに重症の離脱症状である「振戦せん妄」がみられる。振戦せん妄では、粗大な振戦に加え、意識混濁、著明な自律神経症状(発汗・頻脈・発熱)、幻視(小動物幻視など)を伴う。
他の選択肢は、急な断酒で現れる症状ではない。 病的酩酊は少量の飲酒で異常な興奮・意識障害を起こす急性の酩酊であり、断酒とは無関係。 アルコール性認知症とコルサコフ症候群は、長期飲酒による慢性の脳障害であり、急な断酒で急に現れるものではない。特にコルサコフ症候群はビタミンB1欠乏(ウェルニッケ脳症の後遺)による健忘・作話が特徴である。
覚え方: 「断酒(やめて)でせん妄・けいれん」=離脱症状。振戦せん妄は「離脱の山(発症48〜72時間)」で、幻視・自律神経症状を伴う救急対応が必要な状態と押さえる。国試ではアルコール離脱症状の時間経過と振戦せん妄の特徴が頻出。
離脱症状とは
依存していた物質を急にやめたり減らしたりしたときに出る、体と心の症状。アルコールでは振戦・発汗・けいれんなどが起こる。
振戦とは
自分の意思とは関係なく、手や指などが細かくふるえること。
- 1
病的酩酊不正解
病的酩酊は飲酒によって生じる急性の異常酩酊で、断酒(離脱)でみられる症状ではない。
- 2
振戦せん妄正解
断酒後48〜72時間ころに現れる離脱症状。振戦・意識混濁・幻視・自律神経症状を伴う。
- 3
アルコール性認知症不正解
アルコール性認知症は長期飲酒による慢性の認知機能低下で、急な断酒で急性に生じるものではない。
- 4
Korsakoff〈コルサコフ〉症候群不正解
コルサコフ症候群はビタミンB1欠乏に伴う健忘・作話が特徴の慢性障害で、離脱症状ではない。
📚 国試でよく狙われるところ
アルコールの問題は、「やめて起こるもの」と「飲み続けて起こるもの」のどちらかを答えさせる形で出る。症状の名前より、何が原因で起こるかをたどって覚えよう。 アルコール離脱症状は時間経過で整理する。早期(数時間〜)は振戦・発汗・頻脈などの自律神経症状、離脱けいれんはおおむね12〜48時間、振戦せん妄は48〜72時間ころが山になる。
- 振戦せん妄では意識混濁・幻視・著明な発汗と頻脈がそろう。脱水・電解質異常を伴い、放置すると死に至ることがある。
- Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症はビタミンB1(チアミン)欠乏による眼球運動障害・失調・意識障害の三徴。ブドウ糖を投与する前にビタミンB1を補充する。
- Wernicke脳症が慢性化するとKorsakoff〈コルサコフ〉症候群(健忘・作話・見当識障害)に移行する。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について