第111回 看護師国家試験 午前 問94 解説
📝 問題
A さん(50 歳、男性、会社員)は妻と高校生の息子との3人暮らし。仕事を生きがいに働き続けていた。慢性腎不全のため透析治療が必要になったが、本人の希望で連続携行式腹膜灌流法〔CAPD〕を導入することになり入院した。A さんはこれからの生活がどのようになるのかを看護師に質問した。 A さんに対する説明として正しいのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ CAPD(腹膜透析)でも水分・塩分・カリウム等の食事療法が必要である
連続携行式腹膜灌流法(CAPD)は、腹腔に透析液を入れて時間をおき、老廃物を含んだ液を出す操作を1日数回くり返す在宅の透析。通院が少なく生活の自由度は高いが、腎臓の働きを完全に代われるわけではないので、水分・塩分・カリウム・リン・蛋白の食事療法は続ける。
ほかの選択肢は血液透析と取り違えている。通院が週2、3回なのは血液透析で、CAPDは月1〜2回。透析液を送っておけば宿泊を伴う旅行もでき、外出や就労と両立しやすい。カテーテルを入れたあとは出口部が治るまで入浴できず、術翌日から入れるわけではない。
出口部とは
カテーテルが皮膚から出ているところ。ここから細菌が入ると感染し、腹膜炎につながるため毎日観察する。
- 1
「食事療法が必要です」正解
CAPDでも腎機能代替のため水分・塩分・蛋白・カリウム等の食事療法は必要。
- 2
「通院は週に2、3回必要です」不正解
CAPDの通院は月1〜2回程度。週2、3回は血液透析の説明。
- 3
「宿泊を伴う旅行はできません」不正解
透析液を手配すれば宿泊旅行も可能で、外出・就労と両立しやすいのがCAPDの利点。
- 4
「カテーテル挿入術後の翌日から入浴できます」不正解
出口部感染予防のため術翌日からの入浴はできず、創治癒後に条件付きで許可される。
📚 混同しやすいので注意
腹膜透析と血液透析は、通院回数や合併症を入れ替えて問われる。「家で毎日やるか、施設に通ってやるか」を軸に、下の表を左右で対にして覚えよう。 腹膜は使い続けると傷むため、長く続けるには限界がある。
- 腹膜透析の長期合併症に被囊性腹膜硬化症(EPS)があり、通常5〜8年程度で血液透析への移行が検討される。
- 透析液のブドウ糖が体に吸収されるため、エネルギー量には透析液の糖も数える。
- 腹膜透析は残っている腎臓の働きがあるぶん、カリウムの制限が血液透析より緩やかなことが多い。ただし指示に従うのが前提。
- 出口部は毎日観察し、発赤・腫脹・疼痛・排膿があれば受診する。
| 項目 | CAPD(腹膜透析) | 血液透析 |
|---|---|---|
| 実施場所 | 自宅・職場など | 透析施設 |
| 通院 | 月1〜2回程度 | 週3回程度 |
| 除水・血圧 | 持続的で変動が緩やか | 短時間で除水し変動が大きい |
| 主な合併症 | 腹膜炎、出口部感染、被囊性腹膜硬化症 | シャントトラブル、不均衡症候群 |
| アクセス | 腹腔カテーテル | 内シャント |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について