第111回 看護師国家試験 午前 問93 解説
📝 問題
A さん(60 歳、男性、会社員)は息子2人が独立して遠方で暮らしており、2年前に妻と死別して以来、1人暮らし。直腸癌と診断され、腹会陰式直腸切断術、人工肛門造設術を行うと外来で説明を受けた。A さんは看護師に対して「人工肛門を作ると聞いています。便が出てくる場所がどこなのかよくわからなくてイメージできない」と話した。 術後 10 日、A さんは退院日が決まり、「落ち着いたら仕事に復帰します。1人暮らしなので、自分で人工肛門を管理しないといけないですね」と述べた。 A さんの退院に際し、人工肛門の管理に関する看護師の指導で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ ストーマは術後に浮腫が退き縮小するため定期的に大きさを確認する
造ったばかりのストーマはむくんでおり、術後数週から数か月かけて縮んでいく。面板の穴が大きすぎると便が皮膚につき、小さすぎるとストーマを締めつけて傷つける。 そのため退院後も定期的に大きさを測り、穴をストーマ径+1〜2mmに合わせ直す必要がある。
ほかの選択肢は、やりすぎか根拠のない手技である。面板の交換は2〜4日に1回が目安で、1日2回では皮膚を傷める。ストーマの周りは正常な皮膚なので滅菌手袋は要らず、洗浄は微温湯と石けんで足りる。
1人暮らしで職場復帰を望むAさんには、自分で続けられる手技の習得が目標になる。ストーマ外来など、退院後も相談できる場につないでおく。
面板とは
ストーマ装具のうち、皮膚に貼りつく板の部分。中央の穴をストーマの大きさに合わせて切り、便が皮膚につかないようにする。
- 1
「面板は1日2回交換してください」不正解
面板は通常2〜4日に1回交換で、1日2回は頻回すぎ皮膚を傷める。
- 2
「装具の交換は滅菌手袋を使用してください」不正解
ストーマ周囲は正常皮膚のため滅菌手袋は不要で、清潔(未滅菌)操作で行う。
- 3
「面板除去部の皮膚はお湯で洗浄してください」不正解
皮膚洗浄はお湯だけでなく石けんを泡立てて洗浄し、しっかりすすぐのが基本。
- 4
「定期的に人工肛門の大きさを確認してください」正解
術後の浮腫消退でストーマは縮小するため、定期的に測定し面板孔を合わせる。
📚 国試でよく狙われるところ
ストーマの退院指導は、「やってよいこと」と「やりすぎ」を入れ替えて問われる。入浴も仕事も続けられるのが基本で、生活を制限する方向の選択肢はたいてい誤り、と考えよう。
- ストーマは粘膜なので痛覚がなく、こすると簡単に出血する。少量の出血は押さえていれば止まる。
- 装具を着けたままで入浴・シャワーが可能。消化管ストーマなら装具を外して入ることもできる。
- においやガスが気になるときは、いも類・豆類・炭酸飲料を控えめにし、よく噛んでゆっくり食べるよう助言する。
- 皮膚障害の主な原因は便が皮膚につくこと(面板の穴が大きい)と、はがし方が頻回・乱暴なこと。剥離剤を使い、穴のサイズを合わせて防ぐ。
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について