第111回 看護師国家試験 午前 問84 解説
📝 問題
安静臥床による廃用症候群で生じるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 廃用症候群では骨吸収が亢進し、骨萎縮(骨粗鬆症)が生じる
安静臥床が続くと、体にかかる荷重や運動の刺激が減り、全身の働きが落ちる(廃用症候群)。骨では骨をつくる働きが抑えられて骨吸収が上回り、カルシウムが骨から溶け出して廃用性の骨萎縮・骨粗鬆症が進む。
他の選択肢は、いずれも臥床では逆の向きに変化する。1回換気量は減り、循環血液量も減って起立性低血圧の一因になる。基礎代謝は下がり、食欲も活動量や消化管の動きが落ちるぶん低下しやすい。
骨吸収とは
破骨細胞が古い骨をこわし、カルシウムを血液へ戻すはたらき。骨をつくる骨形成とつり合うことで、骨の量が保たれている。
- 1
1回換気量の増加不正解
臥床により呼吸機能は低下し、1回換気量はむしろ減少する。
- 2
循環血液量の増加不正解
臥床により循環血液量は減少し、起立性低血圧の一因となる。
- 3
基礎代謝の上昇不正解
廃用症候群では基礎代謝は上昇せず低下する。
- 4
骨吸収の亢進正解
荷重刺激の減少により骨吸収が亢進し、廃用性の骨萎縮・骨粗鬆症が生じる。
- 5
食欲の増進不正解
活動量低下や消化管運動の低下により食欲はむしろ低下しやすい。
📚 ここも一緒におさえておこう
廃用症候群は「使わないことによる機能低下」で、ほぼすべてが低下・減少の方向に向かう。骨吸収だけは亢進するのが例外で、そこが狙われる。 安静臥床の影響は早く、筋力は1週間で10〜15%程度低下するといわれ、予防(早期離床)が何よりの対策になる。
- 骨からのカルシウム流出により、高カルシウム血症や尿路結石を生じることがある。
- 関節を動かさないと関節拘縮が進む。良肢位の保持と他動的関節可動域訓練が予防となる。
- 仰臥位が続くと分泌物が背側に貯留し沈下性肺炎を起こす。体位変換と呼吸練習が要る。
- 心理・認知面も廃用の対象。意欲低下・抑うつ・見当識障害が生じうる。
| 系統 | 変化 |
|---|---|
| 骨・筋 | 骨吸収亢進(骨萎縮)、筋萎縮、関節拘縮 |
| 循環 | 循環血液量減少、起立性低血圧、静脈血栓症 |
| 呼吸 | 1回換気量減少、沈下性肺炎、排痰困難 |
| 代謝・消化 | 基礎代謝低下、食欲低下、便秘 |
| 皮膚 | 褥瘡 |
| 精神 | 意欲低下、抑うつ、認知機能低下 |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について