第111回 看護師国家試験 午前 問82 解説
📝 問題
急性大動脈解離において緊急手術を行うかどうかの観点で用いる分類はどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 緊急手術の要否の観点で用いるのはスタンフォード分類である
急性大動脈解離では、上行大動脈に解離が及ぶかどうかで治療方針が変わる。そこで分けるのがスタンフォード分類で、A型は破裂や心タンポナーデを起こして短時間で命に関わるため原則緊急手術、B型は原則保存的治療となる。 A型は上行・手術と覚えるとよい。
他の選択肢では緊急手術の要否は決められない。DeBakey(ドベーキー)分類も大動脈解離の分類だが、解離の広がり(Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ型)で分ける解剖学的な分類である。NYHA分類は心不全の重症度、Killip(キリップ)分類は急性心筋梗塞に伴う心不全の重症度、Forrester(フォレスター)分類は心不全の血行動態による分類で、いずれも大動脈解離には用いない。
心タンポナーデとは
心臓を包む膜の内側に血液などがたまり、心臓が十分に広がれなくなる状態。血圧が急に下がり、命に関わる。
NYHA分類とは
ニューヨーク心臓協会が定めた心不全の重症度分類。どのくらいの動作で息切れや動悸が出るかで、Ⅰ度からⅣ度に分ける。
- 1
NYHA 分類不正解
NYHA分類は心不全の自覚症状による重症度分類であり、大動脈解離の手術適応判断には用いない。
- 2
スタンフォード分類正解
スタンフォード分類は上行大動脈への解離の有無でA・B型に分け、緊急手術の要否の判断に用いる。
- 3
Killip〔キリップ〕分類不正解
Killip分類は急性心筋梗塞に伴う心不全の重症度分類であり、大動脈解離には用いない。
- 4
DeBakey〔ドベーキー〕分類不正解
DeBakey分類は解離の範囲による解剖学的分類で、緊急手術の要否を直接示すのはスタンフォード分類である。
- 5
Forrester〔フォレスター〕分類不正解
Forrester分類は心係数と肺動脈楔入圧による心不全の血行動態分類であり、大動脈解離には用いない。
📚 国試でよく狙われるところ
大動脈解離は、分類の名前とその使いどころを入れ替えて問われる。分類名と対象の病気を対にして覚えよう。 発症は突然の激烈な胸背部痛(「引き裂かれるような」「移動する痛み」)で、上行大動脈が裂けると心タンポナーデ・大動脈弁閉鎖不全・冠動脈解離を起こして短時間で致死的になる。
- 身体所見のポイント=血圧の左右差、脈拍の左右差、拡張期雑音、意識障害(頸部血管の巻き込み)。
- 危険因子は高血圧(最大の因子)、動脈硬化、Marfan症候群などの結合組織疾患。
- B型(保存的治療)でも、降圧・心拍数コントロール(β遮断薬)と安静が治療の柱。破裂・臓器虚血があれば手術・ステントグラフト。
- 疼痛のコントロールと血圧上昇の回避(努責・興奮を避ける)が看護の要点。
| 分類 | 区分 | 内容 |
|---|---|---|
| スタンフォード分類 | A型 | 上行大動脈に解離が及ぶ → 原則緊急手術 |
| スタンフォード分類 | B型 | 上行大動脈に及ばない → 原則保存的治療 |
| DeBakey分類 | Ⅰ型 | 上行大動脈に始まり下行以遠まで及ぶ |
| DeBakey分類 | Ⅱ型 | 上行大動脈に限局 |
| DeBakey分類 | Ⅲ型 | 下行大動脈に始まる |
出典:「第111回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について