第110回 看護師国家試験 午後 問47 解説
📝 問題
Aさんは右側の人工股関節全置換術(後方アプローチ)を受けた。Aさんへの脱臼予防の生活指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 後方アプローチでは患側にねじらないよう指導する。
人工股関節全置換術(THA)後の脱臼予防では、後方アプローチの場合とくに股関節の過度な屈曲・内転・内旋を避ける。設問の「右側に身体をねじらない」は、術側への回旋(内旋)を避ける指導であり脱臼予防として適切である。
しゃがんで靴を履く動作は股関節を深く屈曲させるため禁忌に近く、椅子で足を組む動作は内転・内旋を招き脱臼のリスクとなる。浴室の椅子は低いと股関節が深く屈曲するため、膝より高い椅子を用いる方がよく、「膝より低い」は誤りである。
後方アプローチとは
お尻側から切って人工股関節を入れる方法。後ろ側の筋肉と関節包を切るため、股関節を深く曲げて内側にひねると後方へ外れやすい。
内転・内旋とは
内転は脚を体の中心側へ寄せる動き、内旋は太ももを内側へひねる動き。椅子で足を組む姿勢はこの2つが同時に起こる。
- 1
「靴はしゃがんで履いてください」不正解
しゃがむ動作は股関節を深く屈曲させ脱臼リスクとなる。
- 2
「右側に身体をねじらないでください」正解
術側へのねじり(内旋)を避ける指導は後方アプローチの脱臼予防に適切。
- 3
「椅子に座るときは足を組んでください」不正解
足を組むと内転・内旋を招き脱臼リスクとなる。
- 4
「浴室の椅子は膝の高さより低いものを使ってください」不正解
低い椅子は股関節を深く屈曲させるため高めの椅子を用いる。
📚 ここも一緒におさえておこう
人工股関節全置換術の設問は、脱臼しやすい肢位を靴を履く・足を組むといった生活動作に言い換えて出される。前方と後方でどちらの向きが危ないかまで押さえておきたい。 後方アプローチのTHAで脱臼を起こしやすい肢位は屈曲+内転+内旋。前方アプローチでは逆に伸展+外旋で脱臼しやすい。
- 避ける動作=低い椅子・和式トイレ・正座からの立ち上がり・床の物を拾う・前かがみで靴下を履く・足を組む・横座り。
- 工夫=洋式トイレと補高便座・高めの椅子・ソックスエイドやリーチャー・長柄のブラシを使い、就寝時は両下肢の間に外転枕(クッション)を入れる。
- 脱臼したときの症状=患肢の疼痛・短縮・自動運動不能・異常な肢位。ただちに受診するよう指導する。
- 術後は深部静脈血栓症〈DVT〉の予防として、早期離床・足関節の底背屈運動・弾性ストッキング・間欠的空気圧迫法を行う。
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について