第110回 看護師国家試験 午前 問103 解説
📝 問題
A 君(7歳、男児)は、サッカークラブに所属している。本日、練習中に転倒して右腕を地面についた後、肘周囲に腫れと強い痛みが生じたため、父親と救急外来を受診した。エックス線撮影の結果、右側の上腕骨顆上骨折と診断され、非観血的整復とギプス固定が行われることになった。A 君は不安な表情で父親と処置室の前で待っている。 ギプス固定にあたり、A 君への看護師の説明で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ ギプスに使う物品を実際に見せながら説明し、学童期の不安を軽減する。
7歳の学童は具体物を見て理解する段階にあり、処置への不安が強い。プレパレーションの観点から、これから使うギプスの物品を実際に見せながら説明することで、未知への恐怖を軽減し見通しを持たせることができるため、これが最も適切である。
他の選択肢は、子どもへの説明として不正確か、信頼を損ないやすい。「痛くない」と断言すれば、整復で痛んだときに約束を破ったことになる。 「すぐ終わる」も具体性を欠き、体感とずれれば不信を招く。 ギプスは固まるときに熱を持つので、「冷たくなる」は事実と異なる。
プレパレーションとは
処置を「されるだけ」の体験にしないための働きかけ。子どもが見通しをもてると、途中で暴れずに終えられ、次の処置への恐怖も残りにくい。
- 1
痛くないことを説明する。不正解
整復で痛みが生じうるため「痛くない」と断言すると信頼を損なう。
- 2
すぐ終わることを説明する。不正解
「すぐ終わる」は具体性を欠き、実際とずれると不信を招く。
- 3
ギプスが乾くときに冷たくなると説明する。不正解
ギプスは硬化時に発熱し温かくなるため「冷たくなる」は誤った説明。
- 4
ギプスに使うものを見せながら説明する。正解
物品を見せながらの具体的説明が学童の不安軽減とプレパレーションに有効。
📚 ここも一緒におさえておこう
子どもへの説明は、発達段階と説明の仕方を組み合わせて問われる。年齢に合った道具を選び、正直に伝える、を軸に覚えよう。 プレパレーションは、子どもが処置を理解し心の準備をして主体的に取り組めるよう支援する働きかけである。年齢・発達段階に応じ、具体物や絵・人形を用いて正直に説明する。
- 幼児期=実物・人形・絵本を使い短い言葉で。処置の直前に簡潔に説明する
- 学童期=具体的操作期にあたり、手順と理由を順序立てて説明できる。自分でできることを役割として持たせる
- 「痛くない」と嘘をつかない。「チクッとするよ」など予測できる表現で伝える
- ディストラクション(気そらし)=呼吸法、数を数える、好きな話題、タブレットなどを用いる
- 処置後はがんばりを具体的にほめ、遊びを通して体験を表出できるようにする
出典:「第110回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について