第109回 看護師国家試験 午前 問116 解説
📝 問題
直腸癌再発で終末期にある A さん(57歳、男性)は在宅療養中。退院後、A さんは痛みが強くなってきたため、主治医はオキシコドン塩酸塩を増量したが、A さんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と訴えた。そのため、フェンタニル貼付剤に切り替え、レスキュー薬としてフェンタニルクエン酸塩舌下錠が処方された。 訪問看護師による A さんの家族への疼痛緩和のための薬物療法の指導で適切なのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ フェンタニル貼付剤の交換時は、家族が貼付面に触れないよう指導する。
フェンタニル貼付剤は皮膚から薬が吸収される経皮吸収型製剤である。 貼付面(薬剤面)に触れると介護者の皮膚からも薬が吸収され、思わぬ曝露を招く。 交換のときは家族が貼付面に直接触れないよう指導し、触れてしまったときは石鹸を使わず流水で洗い流すよう伝える。
他の3つは指導内容として誤っている。便秘はオピオイドで起こりやすい副作用だが、下剤で対処するもので、貼付をやめる理由にはならない。 残ったオピオイドは麻薬なので自宅に置かず、交付を受けた薬局や医療機関へ返す。 レスキュー薬は製剤ごとに使ってよい間隔と1日の回数が決まっている。
レスキュー薬とは
定期的に使う鎮痛薬では抑えきれない、急に強くなる痛みに追加で使う薬。効き始めの速い製剤を用いる。
- 1
副作用で便秘が生じた場合には貼付しない。不正解
便秘はオピオイドの副作用だが下剤で対処するもので、貼付中止は疼痛管理を破綻させ誤り。
- 2
残ったオキシコドン塩酸塩は自宅で保管する。不正解
残ったオピオイドは自宅保管せず、医療機関・薬局に返却するのが原則である。
- 3
レスキュー薬は使用間隔を気にせず使用してよい。不正解
レスキュー薬は使用間隔や1日回数の上限が定められており、間隔を気にせず使用は誤り。
- 4
フェンタニル貼付剤の交換時に家族が貼付面に触れないようにする。正解
経皮吸収型のため、家族が貼付面に触れると薬物曝露を招く危険があり、触れないよう指導する。
📚 ここも一緒におさえておこう
フェンタニル貼付剤は、血中濃度が上がるまでにも下がるまでにも時間がかかる製剤。 急な痛みにはレスキュー薬で対応し、加温で吸収が増える点に注意する。 介護者の曝露防止も指導内容に含まれる。
- 貼付部位は毎回変え、清潔で乾いた・体毛の少ない場所に貼る。発熱・電気毛布・長い入浴などの加温は吸収量を増やすため注意する。
- レスキュー薬は速放性製剤を用いる。経口モルヒネなどでは1日量の約1/6が目安だが、フェンタニルの舌下錠・バッカル錠は定時薬から換算せず、少量から個別に調整する。
- オピオイドの副作用のうち便秘には耐性ができないため、開始時から緩下薬を継続する。悪心・嘔吐は1〜2週、眠気は数日で軽快することが多い。
- 過量投与の徴候は縮瞳・呼吸抑制・意識レベルの低下で、拮抗薬はナロキソン。
- 麻薬の残薬は自宅で保管・廃棄せず、交付を受けた薬局・医療機関に返却する。
| 副作用 | 対応 |
|---|---|
| 便秘 | 耐性ができないため、開始時から緩下薬を継続する |
| 悪心・嘔吐 | 制吐薬を併用。多くは1〜2週間で軽快する |
| 眠気 | 開始時・増量時に出やすく数日で軽快することが多い。強ければ減量やオピオイドの変更 |
| 呼吸抑制・縮瞳 | 過量のサイン。ただちに医師へ連絡し、必要時ナロキソンを投与 |
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について