第109回 看護師国家試験 午前 問115 解説
📝 問題
A さん(57歳、男性)は、妻(55歳)と長女(28歳)の3人暮らし。4年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後、A さんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部のがん疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院した。主治医から A さんと家族に余命4か月程度と告知され、A さんは「痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と話している。現在、A さんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、痛みがなければ日常生活動作(ADL)は、ほぼ自立している。 A さんは退院後に訪問診療と訪問看護を利用することになり、今後の支援の方向性を確認するため、退院前に A さんと家族も参加するカンファレンスを開催した。 カンファレンスで確認する内容で最も優先度が高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 退院前カンファレンスで最も優先するのは、退院後にAさんが行いたいことである。
Aさんは終末期にあり、「痛みは取り除いてほしいが延命治療は望まない。自宅で好きなことをして過ごしたい」と意向をはっきり述べている。 退院前カンファレンスは在宅療養の方向性を確認する場なので、まず退院後にAさんが行いたいことを確かめる。 これが以降のケア方針の土台になる。
他の3つも必要な話題だが、順番はあとになる。看取りの場所は、本人がどう過ごしたいかが見えてから話し合う。 ストーマパウチの交換方法は、方向性が決まったあとに詰める手技の課題である。 訪問リハビリテーションは、日常生活動作がほぼ自立しているAさんでは急がない。
- 1
看取りの場所不正解
看取りの場所も重要だが、まず本人の望む生活を把握したうえで話し合うべきで最優先ではない。
- 2
ストーマパウチの交換方法不正解
パウチ交換方法は具体的手技の課題で、支援の方向性を確認する場での最優先事項ではない。
- 3
訪問リハビリテーションの必要性不正解
ADLがほぼ自立しており、訪問リハビリの必要性は優先度が高くない。
- 4
退院後の生活で A さんが行いたいこと正解
本人の望む生活を確認することが在宅ターミナルケアの方針の土台となり最優先である。
📚 ここも一緒におさえておこう
本人の価値観や希望を、家族・医療者と繰り返し話し合って共有していく過程をアドバンス・ケア・プランニング(ACP、人生会議)という。 気持ちは変わりうることを前提に、話すたびに記録して関係者で共有する。
- 退院前カンファレンスには、本人・家族、病棟看護師、医師、医療ソーシャルワーカー、ケアマネジャー、訪問看護師、訪問診療医などが参加し、在宅での1日の生活を具体的に描く。
- 在宅療養を支える資源に、訪問診療・訪問看護(24時間対応体制)・在宅療養支援診療所・介護保険サービス・福祉用具貸与がある。
- がん末期は介護保険の特定疾病にあたり、40〜64歳の第2号被保険者でも介護保険を利用できる。
- 疼痛が緩和されていれば行動範囲は広がる。「したいこと」を軸に疼痛管理や環境を組み立てると、支援の優先順位が決まりやすい。
出典:「第109回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について