第108回 看護師国家試験 午後 問87 解説
📝 問題
感覚性失語のある成人患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
1・2
💡 解説
✅ 感覚性失語のある患者とのコミュニケーションでは、短文で話しかけ、身振りを加えて話すのが適切である。
感覚性失語(Wernicke〈ウェルニッケ〉失語)は、言葉の理解が障害される失語である。聞いた言葉の意味をとらえにくい一方で、話し方はなめらかだが錯語(言い間違い)が混じる。 理解を助けるには、一度にたくさんの情報を渡さず短い文で話しかけ、身振りや表情、絵カードや実物を見せるなど言葉以外の手段を組み合わせて伝える。
他の選択肢は、いずれも理解の負担を増やす。多くの話題を出すと情報を処理しきれず混乱する。感覚性失語は聴覚的理解の障害であって難聴ではないので、耳元で大きな声を出しても理解はよくならない。開かれた質問は、答えを自分で組み立てる負担が大きい。 はい・いいえで答えられる閉じた質問にすると答えやすくなる。
- 1
短文で話しかける。正解
短文で話しかけると理解の負担が減り、感覚性失語の患者に情報が伝わりやすい。
- 2
身振りを加えて話す。正解
身振りなど非言語的手段を加えることで、言語理解の障害を補って伝えやすくなる。
- 3
多くの話題を提供する。不正解
多くの話題を提供すると理解の負担が増し、混乱を招くため適切でない。
- 4
耳元に近づき大きな声で話す。不正解
感覚性失語は難聴ではなく理解の障害なので、大きな声で話しても理解は改善しない。
- 5
open-ended question〈開かれた質問〉を用いる。不正解
開かれた質問は理解と応答の負担が大きく、はい・いいえで答えられる閉じた質問の方が適する。
📚 混同しやすいので注意
失語は、タイプと特徴を入れ替えて問われる。理解と発話のどちらが障害されているかで対応が変わる、と覚えよう。
- 運動性失語(Broca〈ブローカ〉失語)は理解が比較的保たれ、言葉が出にくくなる。はい/いいえで答えられる質問や書字・指さしの活用が有効
- どちらの失語も難聴ではないので、大きな声で話しても理解はよくならない
| タイプ | 理解 | 発話 | 主な病巣 |
|---|---|---|---|
| 運動性失語(Broca失語) | 比較的良好 | 非流暢・努力性。自分の誤りに気づく | 前頭葉 |
| 感覚性失語(Wernicke失語) | 障害される | 流暢だが錯語が多く意味が通じにくい | 側頭葉 |
| 全失語 | 障害される | 著しく障害される | 広範な病巣 |
参考: 医学書院「系統看護学講座 成人看護学(脳・神経)」/日本高次脳機能障害学会 資料
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について