第108回 看護師国家試験 午後 問88 解説
📝 問題
交通事故によって脊髄損傷で入院した下肢に麻痺のある成人患者。 職場復帰に向けて、看護師が患者に説明する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・5
💡 解説
✅ 脊髄損傷患者の職場復帰では、車椅子に体圧分散マットを使用し、職場の担当者に自分の病気について伝えることが適切である。
下肢に麻痺があると感覚が鈍く、長く座っていても痛みで気づけないため褥瘡のリスクが高い。車椅子には体圧分散マット(クッション)を使い、あわせて定期的な除圧を行う。 職場復帰にあたっては、必要な配慮を受けられるよう、職場の担当者に自分の病気を伝えておく。環境の調整や緊急時の対応について理解を得ておくことが、働き続けるうえで欠かせない。
他の選択肢は適切でない。自己導尿は清潔な手技を守れば場所を選ばず、職場でも行う。飲水を制限すると脱水や尿路感染を招くので、水分は十分にとる。座っている時間が長いほど褥瘡の危険は高まるため、残業のときこそ休憩を入れて除圧する。
自己導尿とは
自分でカテーテルを尿道から入れて尿を出す方法。膀胱に尿をためたままにしないよう、決まった時間ごとに行う。
- 1
自己導尿は自宅で行う。不正解
自己導尿は清潔手技を守れば自宅に限らず職場でも行うものであり、自宅に限定する必要はない。
- 2
仕事中は飲水を制限する。不正解
尿路感染や脱水の予防のため飲水は適切に確保すべきで、仕事中に一律制限するのは適切でない。
- 3
車椅子には体圧分散マットを使用する。正解
感覚障害と長時間座位による褥瘡予防のため、車椅子に体圧分散マットを使用するのは適切である。
- 4
残業する場合の休憩時間は不要である。不正解
体調管理や褥瘡予防のため適切な休憩は必要であり、休憩不要とするのは適切でない。
- 5
職場の担当者に自分の病気について伝える。正解
必要な配慮や緊急時対応の理解を得るため、職場の担当者に自分の病気について伝えることは適切である。
📚 ここも一緒におさえておこう
脊髄損傷は、起こりやすい合併症の予防と、社会復帰の支援がまとめて問われる。麻痺した領域は感覚がないことを出発点に考えよう。
- 褥瘡予防のため、車椅子の上でもプッシュアップ(腕で体を持ち上げる)による除圧をこまめに行う
- 排尿管理は清潔間欠自己導尿が基本で、尿路感染予防のため水分は十分にとる
- 第6胸髄より高位の損傷では自律神経過反射(膀胱充満や便秘を誘因とする発作性高血圧・頭痛・徐脈・発汗)に注意
- 起立性低血圧・体温調節障害・深部静脈血栓症も起こりやすい
- 就労継続には障害者雇用や職場の合理的配慮の活用が有効で、職場への情報共有が前提となる
参考: 医学書院「系統看護学講座 成人看護学(リハビリテーション看護)」
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について