第108回 看護師国家試験 午後 問74 解説
📝 問題
採血の際、血液が凝固するのを防ぐために試験管にクエン酸の結晶を入れておくことがある。 クエン酸によって血液から除かれるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ クエン酸は血液中のカルシウムイオンをキレートして除き、凝固を防ぐ。
血液が固まるには、カルシウムイオン(第Ⅳ因子)が多くの反応で欠かせない。 クエン酸(クエン酸ナトリウム)はそのカルシウムイオンと結びついてキレートをつくり、使える状態のカルシウムを取り除く。 これで凝固が進まなくなるので、輸血用血液の保存や凝固検査の採血管に使われる。
他の4つは、クエン酸が取り除く相手ではない。 トロンビンとフィブリノーゲンは凝固因子そのもの、プラスミンは固まった血栓を溶かす線溶系の酵素、ナトリウムイオンは凝固に必要な補因子ではない。
キレートとは
金属イオンをはさみ込むようにつかまえて、反応に使えなくすること。
- 1
トロンビン不正解
トロンビンは凝固因子(第Ⅱ因子の活性型)であり、クエン酸が直接除去する対象ではない。
- 2
プラスミン不正解
プラスミンは線溶系の酵素で、クエン酸による凝固阻止の対象ではない。
- 3
カルシウムイオン正解
クエン酸はカルシウムイオンとキレートを形成して除去し、凝固反応を止める。
- 4
ナトリウムイオン不正解
ナトリウムイオンは凝固に必須の補因子ではなく、クエン酸が除去して凝固を防ぐ対象ではない。
- 5
フィブリノーゲン不正解
フィブリノーゲンは凝固因子(第Ⅰ因子)そのものであり、クエン酸が除去するイオンではない。
📚 ここも一緒におさえておこう
採血管に入れる抗凝固剤は、作用機序と検査項目をセットで問われる。 体の中で凝固を抑える薬(ワルファリン)とは、はたらく場所が違う。
- 凝固因子のうち第Ⅱ・Ⅶ・Ⅸ・Ⅹ因子の産生にはビタミンKが必要
- ワルファリン服用中は納豆・青汁・クロレラを避ける(ビタミンKが作用を弱める)
| 抗凝固剤 | 作用機序 | 主な用途 |
|---|---|---|
| クエン酸ナトリウム | カルシウムをキレートする | 凝固検査(PT・APTT)、輸血用血液の保存 |
| EDTA塩 | カルシウムをキレートする | 血算(血球計数) |
| ヘパリン | アンチトロンビンの作用を増強する | 血液ガス分析、生化学検査 |
| フッ化ナトリウム | 解糖を阻止する | 血糖測定 |
参考: 医学書院「系統看護学講座 人体の構造と機能」/標準生理学
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について