第108回 看護師国家試験 午後 問66 解説
📝 問題
Aさん(85歳、女性)は、1人暮らし。日常生活は自立しており、健康のために毎日20〜30分のウォーキングをしている。夜間は、廊下を歩いて1、2回トイレに行く。 Aさんの現時点での家屋環境の整備で最も優先されるのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 夜間にトイレへ歩くAさんには、廊下への足元照明の設置が最も優先される。
Aさんは日常生活が自立しウォーキング習慣もある活動的な高齢者で、転倒のリスクが最も高まるのは夜間にトイレへ移動する場面である。 夜間の廊下は暗く、視力低下も加わって足元が見えにくいため、足元照明を設置して見えやすくすることが転倒予防上最も優先される。
国試の環境整備の問題では、その人の生活動線と現時点のリスクから優先順位を判断する。 手すりの設置や引き戸への変更も有効だが、歩行が自立している現時点のAさんには、夜間の暗さによる転倒という直近のリスクへの対応が優先される。 便座を高くするのは立ち上がりに困難がある場合の対応であり、現状のAさんには当てはまらない。
- 1
便座の高さを高くする。不正解
便座を高くするのは立ち上がりに困難がある場合の対応で、日常生活が自立したAさんに現時点で優先されない。
- 2
廊下に手すりを設置する。不正解
廊下の手すりは有用だが、歩行が自立している現時点では夜間の暗さ対策より優先度は低い。
- 3
トイレの扉を引き戸にする。不正解
引き戸化は将来的に有用だが、現時点のAさんの転倒リスクへの直接的な対応ではない。
- 4
廊下に足元照明を設置する。正解
夜間にトイレへ歩くAさんには、暗い廊下での転倒を防ぐ足元照明の設置が最も優先される。
📚 ここも一緒におさえておこう
転倒は、原因・環境整備・転んだあとの影響がまとめて問われる。原因は内的要因(本人側)と外的要因(環境側)に分けて覚えよう。
- 夜間頻尿がある高齢者では寝室からトイレまでの動線の安全確保が優先される
- 大腿骨近位部骨折は転倒による代表的な骨折で、寝たきりの主要な原因となる
| 区分 | 内容 |
|---|---|
| 内的要因 | 加齢による筋力低下・バランス障害、視力低下、めまい、認知機能低下 |
| 内的要因(薬剤) | 睡眠薬、向精神薬、降圧薬、利尿薬などの服用 |
| 外的要因 | 段差・敷居、コード類、じゅうたんのめくれ、滑りやすい床 |
| 外的要因 | 照明不足、手すりの不備、身体に合わない履物や杖 |
参考: 医学書院「系統看護学講座 老年看護学」/厚生労働省「高齢者の転倒予防」関連資料
出典:「第108回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について