第107回 看護師国家試験 午後 問64 解説

一般在宅看護論✔ 監修済み

📝 問題

A さん(80歳、男性)は、20年前に大腸癌でストーマを造設し、現在週1回の訪問看護を利用している。訪問看護師は、訪問時に A さんから「2日前から腹痛がある」と相談を受けた。A さんのバイタルサインは、体温36.4℃、呼吸数24/分、脈拍84/分、血圧138/60mmHgである。 訪問看護師が A さんの腹痛をアセスメントするための情報で最も優先度が高いのはどれか。

✅ 正解

1

💡 解説

✅ ストーマを造設している人の腹痛では、排便の有無を確認することが最も優先度が高い。

ストーマ保有者に急な腹痛が生じた場合、ストーマからの排便・排ガスの有無を確認することが最優先となる。 排便・排ガスが停止していれば、腸閉塞(イレウス)やストーマの狭窄・傍ストーマヘルニアによる通過障害など、緊急性の高い病態を疑う必要があるためである。 呼吸数がやや多い(24/分)ことからも苦痛や病態の進行が考えられ、まず排泄状況を把握して緊急度を判断する。

国試の在宅ストーマ管理では「腹痛+ストーマ」で腸閉塞を鑑別に挙げる視点が問われる。 皮膚状態や食事・活動量も情報として重要だが、生命にかかわる通過障害を最初に否定するために、排便・排ガスの有無が最優先という優先順位づけを理解しておく。

傍ストーマヘルニアとは

ストーマを出している腹壁のすきまから腸が皮下へ飛び出し、周囲がふくらむ状態。便の通り道が狭くなって通過障害を起こすことがある。

  • 1

    排便の有無正解

    排便・排ガスの有無は腸閉塞やストーマ通過障害という緊急性の高い病態の判断に直結し、最も優先度が高い。

  • 2

    身体活動量不正解

    身体活動量は関連情報ではあるが、急性腹痛の緊急度判断における最優先情報ではない。

  • 3

    食物の摂取状況不正解

    食物摂取状況も参考になるが、まず排泄の有無で通過障害を評価する方が優先度が高い。

  • 4

    ストーマ周囲の皮膚の状態不正解

    ストーマ周囲皮膚の状態は日常管理上重要だが、腹痛の緊急度を判断する最優先情報ではない。

📚 ここも一緒におさえておこう

ストーマは造設部位によって便の性状とリスクが変わり、腹痛時の見方や皮膚の保護とあわせて問われる。

  • 腹痛時は排便・排ガスの停止、腹部膨満、嘔吐の有無を確認し腸閉塞を鑑別する
  • 傍ストーマヘルニアやストーマの脱出・狭窄は通過障害の原因となる
  • 面板の穴はストーマ径より1〜2mm大きくカットし、皮膚の露出を防ぐ
ストーマの造設部位と便性状
造設部位便の性状主な注意点
回腸ストーマ(イレオストミー)水様〜泥状脱水・電解質異常、消化酵素による皮膚障害
上行結腸ストーマ泥状皮膚障害を起こしやすい
横行結腸ストーマ軟便—
下行・S状結腸ストーマ有形便洗腸(灌注排便法)の適応となりうる

参考: 系統看護学講座 在宅看護論/日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会 資料

出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

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