第107回 看護師国家試験 午後 問101 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。 A 君(14歳、男子)。サッカー部の部活動中に頭痛・悪心・嘔吐が出現。熱中症の疑いで受診。 B 教諭に付き添われて、A 君は病院に到着した。来院時、A 君のバイタルサインは、体温38.5℃、呼吸数26/分、脈拍128/分、血圧90/48mmHgであった。口唇粘膜は乾燥し、皮膚をつまむとゆっくり戻る状態であった。血液検査データは、赤血球580万/μL、白血球12,500/μL、Hb 16.8g/dL、Na 152mEq/L、K 4.0mEq/L、Cl 109mEq/L、クレアチニン0.9mg/dLであった。尿比重1.035。受診時の身長165cm、体重57kg(発症前60kg)。 A 君の状態に対するアセスメントとして適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ Na 152mEq/Lは基準値を上回っており、高ナトリウム血症である。
Aくんは発汗と水分喪失により脱水を来している。 血清Naの基準値は135〜145mEq/Lで、Aくんの152mEq/Lはこれを明らかに上回るため高ナトリウム血症である。 発症前60kgから57kgへの3kg(約5%)の体重減少、口唇粘膜の乾燥、皮膚をつまむとゆっくり戻るツルゴールの低下、尿比重1.035の高値は、いずれも水分が多く失われた高張性脱水を裏付けている。
他の選択肢は、脱水で起こる変化を取り違えている。 血液が濃縮されるためHb・赤血球はむしろ高くなり、貧血ではない。K 4.0mEq/Lは基準範囲内である。 体液が失われている以上、循環血液量は増えずに減っている。 皮膚をつまんで戻りが遅いのは、ツルゴール反応が低下した所見で、正常ではない。 検査値は基準値と照合し、脱水では血液濃縮で高く出る項目があることを踏まえて判断する。
ツルゴールとは
皮膚の張りのこと。つまんだ皮膚がすぐに戻らずゆっくり戻るときは、体の水分が足りないサインになる。
- 1
貧血である。不正解
Hb 16.8g/dL・赤血球580万は脱水による血液濃縮の高値で、貧血ではない。
- 2
低カリウム血症である。不正解
K 4.0mEq/Lは基準範囲内で、低カリウム血症ではない。
- 3
高ナトリウム血症である。正解
Na 152mEq/Lは基準値135〜145mEq/Lを上回り、高張性脱水に伴う高ナトリウム血症である。
- 4
循環血液量が増加している。不正解
発汗による脱水で循環血液量はむしろ減少しており、増加していない。
- 5
ツルゴール反応は正常である。不正解
皮膚をつまむとゆっくり戻る所見はツルゴール反応の低下であり、正常ではない。
📚 混同しやすいので注意
脱水は、血清Naの値と症状の組合せを入れ替えて問われる。 水と電解質のどちらが多く失われたかで3型に分け、原因とセットで覚えよう。
- 脱水では血液濃縮によりHb・赤血球数・Ht・尿素窒素・尿比重が上昇する
- ツルゴール(皮膚の張り)低下=つまんだ皮膚の戻りが遅い所見は脱水の徴候
- 体重が3%以上減っていれば脱水を疑う
| 型 | 血清Na | 主な原因 | 特徴的な症状 |
|---|---|---|---|
| 高張性(水欠乏性) | 高値(>145mEq/L) | 発汗、高熱、水分摂取不足 | 強い口渇、粘膜乾燥、乏尿、高比重尿 |
| 等張性(混合性) | 正常 | 嘔吐・下痢、出血 | 両者の中間 |
| 低張性(Na欠乏性) | 低値(<135mEq/L) | 大量発汗時の水のみの補給、利尿薬 | 口渇は乏しい、倦怠感、頭痛、けいれん |
参考: 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について