第107回 看護師国家試験 午後 問100 解説
📝 問題
次の文を読み100〜102の問いに答えよ。 A 君(14歳、男子)は、夏休みのサッカー部の部活動で、朝10時から12時まで屋外で練習した。昼食時におにぎり2個とお茶を500mL摂取し、休憩後の13時から15時まで再び練習した。この日は晴天で、外気温は32℃であった。15分休憩し練習を再開したところ、A 君は突然頭痛と悪心とを訴え、グラウンドの隅に座り込んだ。サッカー部担当の B 教諭が、A 君を日陰で横にして休ませ様子をみていたが、症状が改善せず、顔面蒼白、冷汗が出現した。A 君は「気持ち悪い」と言った後に嘔吐した。 B 教諭が病院に電話連絡したところ、熱中症の疑いがあるため、A 君をタクシーで病院に連れて行くこととなった。このときの A 君の意識は清明で、体温は38.7℃であった。 病院到着までに、看護師が B 教諭に指示する処置として適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 熱中症で高体温・嘔吐がありタクシー移送する間は、まずAくんの体を冷やすことが適切である。
熱中症の応急処置の基本は、涼しい場所への移動・安静と身体冷却である。 Aくんは炎天下(外気温32℃)での運動後に頭痛・悪心・顔面蒼白・冷汗・嘔吐が出現し、体温38.7℃で熱中症が疑われる。 病院到着までの間は、頸部・腋窩・鼠径部など太い血管の走行部を冷やして体温を下げることが最も適切である。
嘔吐した直後に水を飲ませると、誤嚥や再嘔吐の危険がある。 上体を高くすると、循環血液量が減っているところで血圧がさらに下がるので、むしろ下肢を挙上する。 手足のマッサージには、冷却や循環改善の根拠がない。 熱中症の初期対応は「涼所・安静・冷却・水分(可能なら)」を押さえる。 なお重症度分類は出題時点では3段階だったが、2024年の改訂で、Ⅲ度のうち特に重症なものをⅣ度として区別するようになった。
- 1
A 君の体を冷やす。正解
身体冷却は熱中症応急処置の基本で、太い血管部を冷やして体温を下げることが最優先の処置である。
- 2
A 君に水を飲ませる。不正解
嘔吐した直後に無理に水を飲ませると、誤嚥や再嘔吐の危険がある。
- 3
A 君の上体を高くする。不正解
熱中症では循環血液量減少で血圧が下がりやすく、上体を高くするのは逆効果。下肢挙上が望ましい。
- 4
中枢から末梢に向けて A 君の手足をマッサージする。不正解
手足のマッサージは冷却や病態改善の根拠がなく、熱中症の応急処置として不要である。
📚 国試でよく狙われるところ
熱中症は、重症度と現場での対応の組合せを入れ替えて問われる。 意識障害があれば救急搬送という線引きを先に覚え、そこから冷却・補水の可否をたどろう。
- 冷却は頸部・腋窩・鼠径部など太い血管の走行部を中心に行う
- 嘔吐や意識障害があるときは経口補水をさせない(誤嚥の危険)
- 循環血液量が減少しているため、下肢挙上で静脈還流を助ける
| 度 | 症状 | 対応 |
|---|---|---|
| Ⅰ度 | めまい、立ちくらみ、こむら返り、大量発汗 | 涼所での安静・冷却・経口補水(現場で対応可) |
| Ⅱ度 | 頭痛、嘔吐、倦怠感、集中力低下 | 医療機関受診。輸液を要することが多い |
| Ⅲ度 | 意識障害、けいれん、高体温、肝腎機能障害、播種性血管内凝固(DIC) | 直ちに救急搬送し入院加療 |
参考: 日本救急医学会「熱中症診療ガイドライン」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について