第107回 看護師国家試験 午前 問80 解説
📝 問題
難病患者が自分の病気について学ぶことで不安を解消しようとする防衛機制はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 病気について学ぶことで不安を解消しようとするのは防衛機制のうち知性化である。
知性化とは、情緒的に脅威となる事柄を、知識や理屈・抽象的な思考として扱うことで、直接的な感情の動揺を回避しようとする防衛機制である。 難病患者が自分の病気について積極的に学び、知識を得ることで不安を和らげようとする行動は、この知性化にあたる。
他の選択肢も防衛機制だが、はたらき方が違う。 否認=受け入れがたい現実を認めない、昇華=衝動を社会的に価値ある活動へ向ける、合理化=もっともらしい理由づけで正当化する、反動形成=本心と反対の態度をとる。
- 1
否認不正解
否認は受け入れがたい現実を認めないことで、知識を得て不安を和らげる行動とは異なる。
- 2
昇華不正解
昇華は衝動を社会的に価値ある活動に向けることで、病気を学ぶ行動を説明する機制ではない。
- 3
知性化正解
知識・理屈で脅威を扱い、感情の動揺を避けるのが知性化である。
- 4
合理化不正解
合理化はもっともらしい理由づけで正当化することで、学習による不安軽減とは異なる。
- 5
反動形成不正解
反動形成は本心と反対の態度をとることで、この事例の説明には当てはまらない。
📚 混同しやすいので注意
防衛機制は、事例と名前を入れ替えて問われる。定義を短い言葉で覚え、事例と結びつけて練習しよう。 防衛機制そのものは誰にでもみられる正常な心理機能であり、過剰になったり固定化して現実適応を妨げるときに問題となる。
| 防衛機制 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 抑圧 | 苦痛な感情や記憶を意識から締め出す | つらい体験を思い出せない |
| 否認 | 受け入れがたい現実を認めない | がんの告知を受けて「何かの間違いだ」と言う |
| 退行 | 以前の発達段階に戻る | 入院した幼児が指しゃぶりやおねしょをする |
| 置き換え | 感情を別の対象に向ける | 上司への怒りを家族にぶつける |
| 投影 | 自分の感情を相手のものとみなす | 自分が嫌っている相手を「私を嫌っている」と思う |
| 合理化 | もっともらしい理由をつけて正当化する | 不合格を「もともと興味がなかった」と言う |
| 反動形成 | 本心と反対の態度をとる | 嫌いな相手にことさら親切にする |
| 昇華 | 衝動を社会的に価値ある活動に向ける | 攻撃性をスポーツに向ける |
| 知性化 | 知識や理屈として扱い感情を切り離す | 自分の病気を専門書で調べ続ける |
| 代償 | 満たせない欲求を別のもので補う | 勉強が苦手な生徒がスポーツで認められようとする |
参考: 医学書院「系統看護学講座 精神看護学」
出典:「第107回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について