第105回 看護師国家試験 午後 問74 解説
📝 問題
待機的に行う食道静脈瘤硬化療法について正しいのはどれか。
✅ 正解
5
💡 解説
✅ 食道静脈瘤硬化療法のあとは、胸部痛が出ることがある。
食道静脈瘤は、肝硬変などで門脈圧亢進が起こり、行き場を失った血液が食道の粘膜下の静脈へ流れ込んで太くなったものである。破れると大量に出血する。
硬化療法は内視鏡を使い、静脈瘤に硬化剤を注入して血管を固める治療である。鎮静をかけた局所麻酔のもとで行う。 硬化剤は食道の壁に炎症と潰瘍を起こすため、治療後に胸部痛・発熱・嚥下時の痛みが出ることがある。食事は数日かけて、絶食から流動食へと段階を追って戻す。
門脈圧亢進とは
腸や脾臓から肝臓へ血液を運ぶ門脈の圧が上がった状態。肝硬変が代表で、食道静脈瘤・脾腫・腹水を招く。
- 1
全身麻酔下で行う。不正解
硬化療法は内視鏡下に鎮静と局所麻酔で行う。全身麻酔が必要になるのは開腹・開胸の手術である。
- 2
前日に下剤を内服する。不正解
上部消化管の内視鏡を使う治療なので、前処置は前日の夕食以降の絶食である。下剤を飲むのは大腸内視鏡の前である。
- 3
治療後48時間の安静が必要である。不正解
安静が求められるのは主に治療当日で、出血や胸痛がなければ翌日から動き始める。
- 4
治療翌日の朝から常食を開始する。不正解
翌日は絶食か流動食から始め、粘膜の傷が落ち着くのを見ながら数日かけて食事を戻す。
- 5
治療後に胸部痛が出現する可能性がある。正解
硬化剤による食道壁の炎症で、治療後に胸部痛や発熱、嚥下時の痛みが出ることがある。
📚 ここも一緒におさえておこう
食道静脈瘤の治療は、硬化療法と結紮術のどちらかを入れ替えて問われる。方法と治療後に気をつけることを対にして覚えよう。
- 内視鏡的静脈瘤結紮術は、静脈瘤をゴムバンドで縛って落とす方法。硬化剤を使わないぶん潰瘍が浅くすみ、出血しているときにも使いやすい。
- 治療後に注意する合併症は出血・食道潰瘍・食道狭窄・発熱・胸痛である。硬化剤が血管の外に漏れると穿孔を起こすこともある。
- 静脈瘤の破裂を防ぐには、便秘や強い咳、排便時の力み(怒責)で腹圧を上げないよう生活を整える。
参考: 成人看護学(消化器疾患)食道静脈瘤の治療と看護
出典:「第105回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について