第115回 看護師国家試験 午後 問92 解説
📝 問題
次の文を読み91〜93の問いに答えよ。 Aさん(78歳、女性、要介護1)は夫(82歳、要支援1)と2人で暮らしている。高血圧症と心不全と診断され、降圧薬と利尿薬を内服し、日常生活では呼吸困難の症状はない。病状管理のために訪問看護を週1回利用している。Aさんは「最近、買い物に行くとすぐに疲れてしまい、重いものが買えない」と話し、訪問介護員の買い物への同行を希望した。Aさんの希望を受けてサービス担当者会議が開催され、訪問介護事業所から訪問看護師に「買い物に同行するときに注意することはありますか」と質問があった。 Aさんの夫は洗濯や簡単な食事の準備、掃除、ゴミ出しをしている。長女家族は徒歩15分くらいのところに住んでおり、週2回訪れている。訪問看護師が訪問すると、夫から「家事をすることには慣れてきたけれど、最近、腰に痛みを感じることがあります」、長女から「両親はお金がかかってもサービスを使いたいと言っています」と話があった。 訪問看護師がAさんについて介護支援専門員と共有する内容で優先されるのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 介護を担う夫の体調は介護力の低下に直結するため、優先して介護支援専門員と共有する。
在宅療養は「療養者と介護者」のセットで成り立っている。 Aさん(要介護1)の生活を実際に支えているのは夫(82歳、要支援1)であり、その夫に腰痛が出てきたことは、家事と介護の継続が危うくなる兆候である。 介護者が倒れれば在宅生活そのものが立ち行かなくなるため、介護支援専門員(ケアマネジャー)とまず共有し、サービスの追加や役割の調整につなげる。
経済面は長女がすでに意向を示しており、清掃は夫が担えている。 Aさんの夫への気持ちも支援には要るが、いま優先されるのは介護を続けられるかどうかである。
- 1
経済的な状況不正解
長女から「お金がかかってもサービスを使いたい」と意向が示されており、費用が支援の障壁になっていない。確認は必要でも、いま最優先で共有すべき情報ではない。
- 2
室内の清掃状況不正解
掃除は夫が行えており、生活環境に差し迫った問題があるとは述べられていない。優先度は低い。
- 3
Aさんの夫の体調正解
夫は82歳・要支援1で、腰痛は家事と介護の継続を直接おびやかす。介護者の健康問題はケアプラン見直しの引き金になるため、真っ先に介護支援専門員と共有する。
- 4
Aさんの夫への気持ち不正解
Aさんが夫に対してどう感じているかは支援を考えるうえで大切だが、いま在宅生活が回らなくなるリスクに直結する情報ではない。優先度は下がる。
📚 ここも一緒におさえておこう
在宅の事例では、療養者を支えている人が倒れないかまで含めて問われる。老老介護では介護者自身も支援を要する状態にあることが多い。 夫は要支援1なので、本人も介護予防サービスを使える立場である。
- 介護負担の評価にはZarit介護負担尺度(日本語版短縮版 J-ZBI_8)が用いられる
- レスパイトを目的としたサービス=短期入所生活介護(ショートステイ)、通所介護
- サービス担当者会議は介護支援専門員が招集し、本人・家族・各サービス事業者が参加してケアプランを検討する
- 訪問看護師は医療の視点から、療養者だけでなく介護者の健康状態も継続的にアセスメントする
| 区分 | ケアプラン作成の主体 | 主に使うサービス |
|---|---|---|
| 要支援1・2 | 地域包括支援センター(介護予防支援) | 介護予防サービス、総合事業 |
| 要介護1〜5 | 居宅介護支援事業所の介護支援専門員 | 居宅サービス、施設サービス |
参考: 介護保険法(居宅サービス計画・介護予防サービス計画)/地域包括ケアシステムにおける家族介護者支援に関する厚生労働省資料
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について