第115回 看護師国家試験 午後 問78 解説

📝 問題

上大静脈症候群の症状はどれか。

✅ 正解

4

💡 解説

✅ 上大静脈の閉塞により顔面・上肢の浮腫が生じる。

上大静脈症候群は、縦隔の腫瘍(多くは肺癌、とくに小細胞肺癌や悪性リンパ腫)や血栓によって上大静脈が圧迫・閉塞され、上半身の静脈血が心臓に戻れなくなる病態である。 行き場を失った血液がうっ滞するため、顔面・頸部・上肢の浮腫、頸静脈の怒張、前胸部の側副血行路の怒張、顔面の紅潮やチアノーゼが現れる。頭部のうっ血による頭痛やめまい、気道浮腫による呼吸困難・嗄声を伴うこともある。

上大静脈は上半身からの静脈還流を担う血管なので、症状は「首から上と両上肢のうっ滞」として現れると考えるとよい。喀血は気道からの出血、上腕痛と眼瞼下垂は肺尖部にできた腫瘍(Pancoast(パンコースト)腫瘍)が腕神経叢や頸部交感神経幹に浸潤したときの症状で、静脈のうっ滞とは機序が異なる。

上大静脈症候群は進行が速く気道閉塞や脳浮腫に至ることがあるため、腫瘍緊急症(オンコロジックエマージェンシー)の一つとして緊急の放射線照射・化学療法・ステント留置の対象になる。

  • 1

    喀血不正解

    喀血は気道や肺からの出血で、肺癌・気管支拡張症・肺結核などでみられる。上大静脈が閉塞して起こる静脈のうっ滞とは機序が異なり、上大静脈症候群の症状ではない。

  • 2

    上腕痛不正解

    上腕の痛みは、肺尖部に生じた腫瘍(Pancoast腫瘍)が腕神経叢に浸潤したときにみられる。同じ肺癌でも、腫瘍の部位と浸潤する構造が異なる症状である。

  • 3

    眼瞼下垂不正解

    眼瞼下垂は、頸部の交感神経幹が障害されて起こるHorner(ホルネル)症候群の症状で、眼瞼下垂・縮瞳・眼球陥凹・同側顔面の発汗低下がそろう。これもPancoast腫瘍で典型的にみられる。

  • 4

    顔面浮腫正解

    上大静脈が閉塞して上半身の静脈血が心臓に戻れなくなるため、顔面・頸部・上肢に浮腫が生じる。朝方に強い顔のむくみ、まぶたの腫れ、頸静脈怒張、前胸部の静脈拡張などが手がかりになる。

  • 5

    胸水貯留不正解

    胸水貯留は、胸膜播種・心不全・低アルブミン血症・感染などで起こる。上大静脈の閉塞そのものによって生じる症状ではない。

📚 国試でよく狙われるところ

がんの経過中に急に命に関わる病態は、腫瘍緊急症としてまとめて問われる。病態名と主な症状を対にして覚えよう。

主なオンコロジックエマージェンシー(腫瘍緊急症)
病態機序主な症状
上大静脈症候群縦隔腫瘍・血栓による上大静脈の閉塞顔面・上肢の浮腫、頸静脈怒張、呼吸困難、嗄声
脊髄圧迫脊椎転移による硬膜外の圧迫背部痛、下肢の筋力低下・しびれ、膀胱直腸障害
高カルシウム血症骨転移・PTHrP産生口渇、多尿、悪心・嘔吐、便秘、意識障害
腫瘍崩壊症候群治療により腫瘍細胞が急速に崩壊高K・高P・高尿酸・低Ca血症、急性腎障害、不整脈
心タンポナーデ心嚢への転移・心嚢液貯留血圧低下・頸静脈怒張・心音減弱(ベックの三徴)

参考: 日本肺癌学会「肺癌診療ガイドライン」(上大静脈症候群の管理)/系統看護学講座 成人看護学(呼吸器・がん看護)

出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について

この問題をアプリで演習しませんか?

この1問を演習する(無料)第115回の問題一覧を見る