第115回 看護師国家試験 午後 問68 解説
📝 問題
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉による入院で正しいのはどれか。
✅ 正解
2
💡 解説
✅ 入院形態を問わず、入院中の患者は処遇改善を請求できる。
精神保健福祉法は、本人の同意によらない入院を認める代わりに、患者の権利を守る仕組みを置いている。その中心が退院請求・処遇改善請求である。 入院中の者またはその家族等は、入院形態を問わず都道府県知事等に対して退院や処遇の改善を請求でき、請求を受けた知事は精神医療審査会に審査を求めなければならない。 任意入院であっても、開放処遇の制限や通信・面会の制限などについて請求できる。
他の選択肢は入院形態の要件の取り違えである。応急入院は家族等の同意が得られない場合の入院で同意は不要、緊急措置入院は指定医1名の診察による入院、そして72時間という時間制限があるのは緊急措置入院と応急入院であって措置入院ではない。
精神医療審査会とは
入院の必要性や処遇が適切かどうかを審査する都道府県の機関。精神科の医師・法律家・保健福祉の専門家で構成され、退院請求や処遇改善請求はここで審査される。
- 1
応急入院は患者の保護者等の同意が必要である。不正解
応急入院は、直ちに入院させなければ医療および保護を図るうえで著しく支障があるが、家族等の同意を得ることができない場合に行う入院形態である。同意は不要で、精神保健指定医1名の診察により、応急入院指定病院において72時間に限り行える。
- 2
任意入院をした患者は処遇改善の請求が可能である。正解
精神科病院に入院中の者およびその家族等は、入院形態にかかわらず都道府県知事等に対して退院請求・処遇改善請求ができる。請求を受けた知事は精神医療審査会に審査を求め、その結果に基づいて必要な措置をとる。任意入院者も当然に対象である。
- 3
緊急措置入院は2名の精神保健指定医の判断が必要である。不正解
2名以上の精神保健指定医の診察結果が一致することを要するのは措置入院である。緊急措置入院は、措置入院の要件に該当すると考えられるが急速を要して2名の診察を得るいとまがない場合に、指定医1名の診察により72時間に限って行うものである。
- 4
措置入院は72時間以内に他の入院形態へ切り替える必要がある。不正解
72時間という制限があるのは緊急措置入院と応急入院である。措置入院に期間の定めはなく、自傷他害のおそれがなくなったと認められた時点で、指定医の診察に基づく症状消退届を経て都道府県知事が措置を解除する。
📚 国試でよく狙われるところ
入院形態は、精神保健指定医の人数・同意する人・期間の制限を入れ替えて問われる。下の表で3つをセットで覚えよう。 2024年4月施行の改正により、医療保護入院には入院期間を定めて更新する仕組みが導入され、家族等が同意・不同意のいずれの意思も示さない場合にも市町村長同意による入院ができるようになった。 あわせて、入院者の孤立を防ぐ入院者訪問支援事業が創設された。
| 入院形態 | 精神保健指定医 | 同意 | 期間の制限 |
|---|---|---|---|
| 任意入院 | 不要(退院制限時は1名) | 本人の同意 | なし(退院制限は72時間まで) |
| 医療保護入院 | 1名 | 家族等1名の同意(家族等がいない等は市町村長) | 期間を定めて更新(当初3か月以内、その後6か月以内ごと) |
| 応急入院 | 1名 | 不要(家族等の同意が得られない場合) | 72時間 |
| 措置入院 | 2名以上の一致 | 不要(都道府県知事の措置) | なし |
| 緊急措置入院 | 1名 | 不要 | 72時間 |
参考: 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律 第20条・第21条・第29条・第29条の2・第33条・第33条の7・第38条の4/厚生労働省「精神保健福祉法の改正について」(2024年4月施行)
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について