第115回 看護師国家試験 午前 問51 解説
📝 問題
細菌性の肺炎と診断された慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉患者の酸素療法で正しいのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ 慢性閉塞性肺疾患の酸素療法では、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉を指標に必要最小限の酸素を投与する。
慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)の患者への酸素投与は、SpO2を指標に必要最小限が原則である。パルスオキシメータで連続して測り、目標SpO2は概ね88〜92%になるよう流量を調整する。
なぜ最小限にするのか。COPDでは慢性的に二酸化炭素が高く、呼吸の調節が低酸素刺激に頼っている。そこへ高濃度・高流量の酸素を入れると、呼吸を促す刺激が弱まって換気が減り、二酸化炭素がたまる。 これが意識障害を伴うCO2ナルコーシスである。
- 1
酸素中毒を避けるために高流量にする。不正解
酸素中毒はむしろ高濃度酸素を長時間投与することで起こる。高流量にすれば避けられるというのは誤り。
- 2
鼻カニューレでの最大投与量は8L/分である。不正解
鼻カニューレの投与量は通常最大6L/分まで。それ以上流しても吸入酸素濃度は頭打ちで、鼻粘膜の乾燥・疼痛・鼻出血を招く。
- 3
CO2ナルコーシス予防のために酸素濃度を高くする。不正解
記述が逆である。高濃度酸素の投与こそがCO2ナルコーシスの誘因で、予防のためには低濃度から慎重に投与する。
- 4
経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が投与量の指標となる。正解
正しい。SpO2を連続して測り、目標範囲(COPDでは概ね88〜92%)を保つよう酸素流量を調整する。
📚 国試でよく狙われるところ
器具ごとの流量と酸素濃度の対応は繰り返し問われる。COPDには濃度を一定に保てるベンチュリーマスクが向く。 酸素を入れすぎたときに現れる症状も、あわせて問われる。
- CO2ナルコーシスの三徴=意識障害・自発呼吸の減弱・高度の呼吸性アシドーシス。前ぶれとして頭痛・発汗・顔面紅潮・傾眠・羽ばたき振戦がみられる。
| 器具 | 酸素流量 | おおよその吸入酸素濃度 |
|---|---|---|
| 鼻カニューレ | 1〜6 L/分 | 24〜44% |
| 簡易酸素マスク | 5〜10 L/分 | 40〜60%(5L/分未満はCO2の再呼吸が起こるため使えない) |
| リザーバー付き酸素マスク | 6〜10 L/分 | 60〜90% |
| ベンチュリーマスク | 器具ごとの指定流量 | 24〜50%を一定に供給できる(COPDに適する) |
参考: 日本呼吸器学会「COPD(慢性閉塞性肺疾患)診断と治療のためのガイドライン」/日本呼吸器学会「酸素療法マニュアル」
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について