第115回 看護師国家試験 午前 問118 解説
📝 問題
次の文を読み118〜120の問いに答えよ。 午前9時、震度6強の大地震が発生した。発災直後、A病院では傷病者への対応として救急病棟に8床確保した。その応援のために各部署から看護師3名、医師2名、臨床工学技士1名、臨床検査技師1名、理学療法士1名が救急病棟に集まった。救急病棟のリーダー看護師は他部署から集まったスタッフとカンファレンスを行った。 リーダー看護師が指揮する内容で適切なのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 医療機器の動作確認は臨床工学技士の専門業務であり、これを依頼するのが最も適切。
災害時は多職種が急に集まって活動することになるが、職種ごとの業務範囲は災害時でも変わらない。
臨床工学技士は臨床工学技士法に基づき、生命維持管理装置の操作と保守点検を担う専門職である。震度6強の地震の直後は停電・機器の転倒・破損が想定されるため、人工呼吸器・輸液ポンプ・除細動器などの動作確認を臨床工学技士に依頼するのは、専門性を生かした適切な指示になる。
災害時の指揮では、まず指揮命令系統を一本化し、各職種に業務範囲内の役割をはっきり割り当てるのが基本。混乱しているときほど、平時の安全確認の手順を省かないことが事故を防ぐ。
- 1
理学療法士に傷病者の採血を依頼する。不正解
採血は医師・看護師のほか、医師の指示のもとで臨床検査技師が行える行為であり、理学療法士の業務範囲ではない。
- 2
看護師に自己判断で輸液を実施するよう伝える。不正解
輸液(静脈内注射)は医師の指示に基づく診療の補助であり、看護師が自己判断で実施することはできない。
- 3
臨床工学技士に医療機器の動作確認を依頼する。正解
正しい。生命維持管理装置の保守点検・動作確認は臨床工学技士の専門業務である。
- 4
傷病者本人が名前を名乗る行為は省くよう医療スタッフに伝える。不正解
患者誤認を防ぐ基本は、本人にフルネームを名乗ってもらうこと。混乱した災害時こそ誤認のリスクが高く、省いてはならない。名乗れない場合はリストバンドや識別番号を用いる。
📚 一緒に確認しよう
災害医療の基本原則はCSCATTTの7文字。前半のCSCAが体制づくり、後半のTTTが医療活動を表す。
- 臨床工学技士=人工呼吸器・透析装置・輸液ポンプ等の生命維持管理装置の操作と保守点検、非常電源の確認。
- 臨床検査技師=検体検査、生理機能検査、医師の指示下での採血。
- 理学療法士=移動の介助、廃用予防、避難所での生活不活発病の予防。
- 薬剤師=医薬品の管理・供給、お薬手帳による常用薬の把握。
| 記号 | 意味 | 内容 |
|---|---|---|
| C | Command & Control | 指揮・統制。指揮命令系統を一本化する |
| S | Safety | 安全。自分・現場・患者の順に安全を確保する |
| C | Communication | 情報伝達。連絡手段と報告経路を確保する |
| A | Assessment | 評価。被害状況と必要な資源を評価する |
| T | Triage | トリアージ。治療の優先順位を決める |
| T | Treatment | 治療。限られた資源で最大多数を救う |
| T | Transport | 搬送。適切な医療機関へ送る |
参考: 臨床工学技士法/保健師助産師看護師法/災害医療の基本 CSCATTT
出典:「第115回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について