第114回 看護師国家試験 午後 問85 解説
📝 問題
内臓脂肪の蓄積を推定するために用いるのはどれか。2つ選べ。
✅ 正解
3・4
💡 解説
✅ 内臓脂肪の蓄積は、腹部CTと腹囲(ウエスト周囲長)で推定する。
同じ肥満でも、皮下に脂肪がつく皮下脂肪型と、おなかの奥(腸のまわり)につく内臓脂肪型とでは、生活習慣病のリスクが大きく違う。内臓脂肪はインスリンの効きを悪くし、脂質異常や血圧上昇に直結するので、その量を推定する方法が必要になる。
正確に測れるのは腹部CTで、臍の高さの断面で内臓脂肪面積100cm²以上なら内臓脂肪型肥満と判定する。ただし被曝と費用があり、健診で全員には行えない。そこで代わりに使うのが腹囲で、男性85cm以上・女性90cm以上が内臓脂肪面積100cm²に相当するとされ、特定健診の必須項目になっている。
- 1
身長不正解
身長は体重と合わせてBMI(体格指数)を出すために使うが、BMIは全身の肥満度を表す指標で、脂肪が皮下にあるのか内臓にあるのかは区別できない。
- 2
体重不正解
体重も全身の肥満度に関わるが、筋肉と脂肪の内訳や脂肪のつく場所までは分からない。経過をみるには役立っても、内臓脂肪の推定には使えない。
- 3
腹部CT正解
腹部CTは臍の高さの断面で内臓脂肪面積を実際に測れる、最も正確な方法である。被曝と費用のため、健診ではなく精査で用いる。
- 4
腹囲〈ウエスト周囲長〉正解
腹囲は、立位で軽く息を吐いた状態で臍の高さを測る簡単な代用の指標である。特定健診・特定保健指導ではメタボリックシンドローム判定の必須項目になっている。
- 5
血中トリグリセライド値不正解
中性脂肪はメタボリックシンドロームの診断基準の一項目(150mg/dL以上)だが、脂質代謝の異常を示す検査値であって、脂肪の量そのものを測るものではない。
📚 一緒に確認しよう
メタボリックシンドロームは、内臓脂肪の蓄積を土台に複数のリスクが重なった状態をいう。腹囲が必須項目である点が特徴である。
- 内臓脂肪から出るアディポネクチンはインスリンの効きをよくし動脈硬化を防ぐが、内臓脂肪が増えると低下する
- 特定健康診査・特定保健指導の対象は40〜74歳の医療保険加入者
- 内臓脂肪は皮下脂肪より運動や食事療法で減りやすく、保健指導の効果が出やすい
| 区分 | 基準 |
|---|---|
| 必須項目 | 腹囲 男性85cm以上・女性90cm以上(内臓脂肪面積100cm²に相当) |
| 脂質 | 中性脂肪150mg/dL以上 かつ/または HDLコレステロール40mg/dL未満 |
| 血圧 | 収縮期130mmHg以上 かつ/または 拡張期85mmHg以上 |
| 血糖 | 空腹時血糖110mg/dL以上 |
必須項目に加え、脂質・血圧・血糖の3項目のうち2項目以上に該当すると診断される。
参考: メタボリックシンドローム診断基準検討委員会「メタボリックシンドロームの定義と診断基準」/厚生労働省「標準的な健診・保健指導プログラム」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について