第114回 看護師国家試験 午後 問8 解説
📝 問題
老年期の身体機能の変化で正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 加齢で肝臓の代謝と腎臓の排泄が落ち、薬物代謝は遅くなる。
歳をとると各臓器の予備能が下がる。肝臓では血流量と薬を分解する酵素の働きが落ち、腎臓では血流量とネフロン数が減って濾過の力が下がる。そのため薬の代謝と排泄がともに遅くなり、同じ量でも効き目や副作用が強く長く出やすい。
老年期の変化は「はたらきは下がる」が基本。上がるのは血圧と残気量くらいで、あとは例外として覚えるとよい。
- 1
耐糖能は向上する。不正解
逆である。インスリン分泌の低下と筋肉量の減少で耐糖能は下がり、高齢者に糖尿病が多い一因になる。
- 2
尿濃縮力は向上する。不正解
逆である。ネフロンが減り、尿を濃くする力は下がる。夜間の尿が増えて脱水になりやすい。
- 3
薬物代謝は遅延する。正解
正しい。肝臓での代謝と腎臓からの排泄がともに落ち、薬が体内に長くとどまる。
- 4
肺の残気量は減少する。不正解
逆である。肺の弾性が落ちて息を吐ききれなくなるため、残気量は増え、肺活量は減る。
📚 ここも一緒におさえておこう
高齢者に薬が効きすぎる理由は、代謝と排泄の低下だけではない。体の成分の変化も関わる。
- 血清アルブミンが減ると遊離型の薬が増え、作用が強く出る
- 体の水分が減り口渇も感じにくいため、脱水を起こしやすい
- 脂に溶けやすい薬(ベンゾジアゼピン系など)は体脂肪率の上昇で半減期が延びる
| 項目 | 変化の向き |
|---|---|
| 収縮期血圧・脈圧 | 上昇(動脈壁の硬化) |
| 最大心拍数・予備力 | 低下 |
| 肺活量・1秒量 | 低下 |
| 残気量 | 増加 |
| 糸球体濾過量・尿濃縮力 | 低下 |
| 体内水分量 | 減少(成人約60%→約50%) |
| 唾液・胃酸分泌 | 減少 |
参考: 高齢者の安全な薬物療法ガイドライン2015(日本老年医学会)
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について