第114回 看護師国家試験 午前 問38 解説
📝 問題
高濃度の酸素吸入によってCO2ナルコーシスを生じる危険性が最も高いのはどれか。
✅ 正解
4
💡 解説
✅ もともと二酸化炭素がたまっている慢性閉塞性肺疾患で、危険性が最も高い。
二酸化炭素ナルコーシスは、血液中の二酸化炭素が急に増えて意識障害を起こす状態。
慢性閉塞性肺疾患(COPD〈シーオーピーディー〉)では、もともと二酸化炭素が多い。それを補うために「酸素が足りない」という刺激で呼吸を保っている。
そこへ高い濃度の酸素を与えると、呼吸のスイッチだった低酸素がなくなって換気が減り、二酸化炭素がさらに増えてしまう。
症状は頭痛・発汗・顔が赤くなることから始まり、うとうとする、羽ばたき振戦、昏睡へと進む。
予防のため、この病気の酸素療法では目標の経皮的動脈血酸素飽和度を88〜92%と低めにし、少ない流量から始めて少しずつ調整する。
- 1
無気肺〈atelectasis〉不正解
無気肺では酸素は下がるが、他の部分の換気で補われるため二酸化炭素はふつうたまらない。
- 2
肺塞栓症〈pulmonary embolism〉不正解
肺塞栓症では低酸素と不安で呼吸が速くなり、二酸化炭素はむしろ下がる。
- 3
間質性肺炎〈interstitial pneumonia〉不正解
間質性肺炎はガスが通りにくくなるのが主体。二酸化炭素は酸素より通りやすいのでたまりにくい。
- 4
慢性閉塞性肺疾患〈COPD〉〈chronic obstructive pulmonary disease〉正解
正しい。低酸素の刺激に頼って呼吸しているため、高濃度の酸素で換気が抑えられてしまう。
📚 混同しやすいので注意
呼吸不全は「二酸化炭素がたまっているか」でⅠ型とⅡ型に分かれる。危ないのはⅡ型。
- 呼吸不全の定義=室内の空気で動脈血酸素分圧60Torr以下(経皮的動脈血酸素飽和度でおよそ90%以下)。
- 二酸化炭素ナルコーシスの3つの特徴=意識障害・自発呼吸の弱まり・強い呼吸性アシドーシス。
- 気づいたら酸素を勝手に止めず、医師に報告して流量の調整や換気の補助を検討する。
| 型 | 動脈血酸素分圧 | 動脈血二酸化炭素分圧 | 代表疾患 |
|---|---|---|---|
| Ⅰ型 | 60Torr以下 | 45Torr以下(正常〜低下) | 肺炎、間質性肺炎、肺塞栓症、急性呼吸窮迫症候群 |
| Ⅱ型 | 60Torr以下 | 45Torrを超える | 慢性閉塞性肺疾患、神経筋疾患、重い喘息、睡眠時無呼吸 |
参考: 日本呼吸器学会「COPD診断と治療のためのガイドライン」
出典:「第114回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について