第113回 看護師国家試験 午前 問76 解説
📝 問題
乳房について正しいのはどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 乳腺はアポクリン汗腺が変化して生じた外分泌腺である。
乳腺は発生学的に皮膚の汗腺、とくにアポクリン汗腺が特殊に分化・変化して生じた外分泌腺である。乳汁は乳腺の腺房(腺胞)で産生され、乳管を通って運ばれる。
「乳腺=汗腺の仲間」と押さえる。腋窩や外陰部にあるアポクリン汗腺と同じ皮膚由来の器官で、妊娠・授乳期に大きく発達し、授乳が終わると退縮する。
- 1
月経前に乳房が張りやすいのはエストロゲンの影響である。不正解
月経前に乳房が張るのは主に黄体期のプロゲステロンの影響で、エストロゲンではない。
- 2
乳腺周囲の平滑筋はオキシトシンによって弛緩する。不正解
オキシトシンは筋上皮細胞を収縮させて射乳を促すもので、弛緩させるのではない。
- 3
乳腺はアポクリン汗腺が変化したものである。正解
乳腺は発生学的にアポクリン汗腺が変化して生じた外分泌腺である。
- 4
乳房は褐色脂肪組織である。不正解
乳房の脂肪組織は主に白色脂肪組織であり、褐色脂肪組織ではない。
- 5
乳管は乳汁を産生する。不正解
乳汁を産生するのは腺房(腺胞)であり、乳管は乳汁を運ぶ通り道である。
📚 これとセットで理解しよう
産後の乳汁分泌は、ホルモンの切り替わりと、赤ちゃんが吸う刺激の両方で進んでいく。出はじめの乳汁の性質もあわせて問われる。
- 分娩により胎盤が娩出されるとエストロゲン・プロゲステロンが急減し、抑制が外れてプロラクチンの作用が発現、産後2〜3日で乳汁分泌が本格化する。
- 初乳は分娩後数日間の黄色く粘稠な乳汁で、分泌型IgAやラクトフェリンを多く含み感染防御に働く。
- 乳汁の産生は児の吸啜による需要と供給のしくみで維持されるため、頻回授乳と適切な吸着が分泌維持の基本になる。
| ホルモン | 分泌部位 | 作用 |
|---|---|---|
| エストロゲン | 卵巣・胎盤 | 乳管の発育を促す |
| プロゲステロン | 卵巣・胎盤 | 腺房の発育を促す。月経前の乳房緊満の主因 |
| プロラクチン | 下垂体前葉 | 乳汁の産生を促す。吸啜刺激で分泌が増える |
| オキシトシン | 下垂体後葉 | 筋上皮細胞を収縮させて射乳を起こす。子宮収縮も促し子宮復古を助ける |
参考: 標準的な解剖生理学(乳腺の発生と機能)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について