第113回 看護師国家試験 午前 問65 解説
📝 問題
Aさん(30歳、男性)は、昼間の過剰な眠気を主訴に来院した。会社の会議ではいつも寝てしまい、居眠り運転で交通事故を起こしたこともある。笑ったときに脱力してしまうことや、入眠時に誰もいないのに人影が見えたり、睡眠と覚醒の移行期に体を動かせなくなることがある。 最も考えられる疾患はどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 日中の過度の眠気に情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺を伴うことから、ナルコレプシーが最も考えられる。
ナルコレプシーは、日中の抑えがたい強い眠気を主症状とし、笑いや驚きなどの情動で誘発される情動脱力発作(カタプレキシー)・入眠時幻覚・睡眠麻痺(金縛り)を四徴とする。 Aさんの「会議で寝てしまう」「笑ったときに脱力する」「入眠時に人影が見える」「体を動かせなくなる」はこれらに一致する。
四徴のうち情動脱力発作はナルコレプシーに特異性が高く、鑑別の決め手になる。
- 1
ナルコレプシー正解
日中の過度の眠気・情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺の四徴が典型的で、ナルコレプシーと考えられる。
- 2
レム睡眠行動障害不正解
レム睡眠行動障害はレム睡眠中に夢に合わせて体を動かすもので、高齢者やパーキンソン病に関連する。
- 3
睡眠時無呼吸症候群不正解
睡眠時無呼吸症候群はいびきや無呼吸に伴う眠気が主で、情動脱力発作や入眠時幻覚は特徴でない。
- 4
レストレスレッグス症候群〈むずむず脚症候群〉不正解
レストレスレッグス症候群は安静時の下肢のむずむず感が特徴で、日中の眠気四徴とは異なる。
📚 一緒に確認しよう
ナルコレプシーは10代での発症が多く、覚醒を維持するオレキシン(ヒポクレチン)神経の脱落が関与する。診断には終夜睡眠ポリグラフ検査と反復睡眠潜時検査を行い、入眠潜時の短縮と入眠時レム睡眠期の出現を確認する。
- 治療は中枢神経刺激薬と情動脱力発作に対する抗うつ薬に加え、規則正しい睡眠習慣と日中の短時間の計画的仮眠を組み合わせる。
- 強い眠気は交通事故・作業事故につながるため、運転や就業についての具体的な生活指導が欠かせない。
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| ナルコレプシー | 日中の抑えがたい眠気に加え、情動脱力発作・入眠時幻覚・睡眠麻痺を伴う(四徴) |
| 睡眠時無呼吸症候群 | いびきと無呼吸、肥満や小顎、起床時の頭痛。中途覚醒により日中の眠気が生じる |
| レストレスレッグス症候群 | 夕方から夜間に下肢のむずむず感。動かすと軽減する。鉄欠乏や腎不全に関連 |
| レム睡眠行動障害 | レム睡眠中に夢の内容に一致した行動をとる。高齢男性、パーキンソン病やレビー小体型認知症に関連 |
参考: 睡眠障害国際分類に基づく標準的精神医学(ナルコレプシーの四徴)
出典:「第113回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について