第112回 看護師国家試験 午前 問68 解説
📝 問題
Aさん(85歳、男性)は1人暮らしで判断能力が不十分である。4親等以内の親族はいない。訪問看護事業所におけるAさんの情報管理で適切なのはどれか。
✅ 正解
1
💡 解説
✅ 判断能力が不十分で親族のいないAさんについては、法定代理人である成年後見人に訪問看護計画を説明するのが適切である。
Aさんは判断能力が不十分で4親等以内の親族もいないため、成年後見制度の利用が想定される。 成年後見人は本人の身上監護・財産管理を担う法定代理人であり、本人に代わってケアに関する説明を受け、意思決定を支援する立場にある。訪問看護計画を説明する相手として適切である。
民生委員への経済状況の開示、訪問記録を電子メールに添付しての共有(安全管理・目的外利用の点で問題がある)、他の利用者へのケアプランの提示は、いずれも本人の同意や正当な目的なく個人情報を第三者に提供・漏えいするおそれがあり、個人情報保護の原則に反する。
身上監護とは
本人に代わって医療や介護の契約を結んだり、生活や療養の状況に目を配ったりすること。財産管理と並ぶ成年後見人の役割。
- 1
成年後見人にAさんの訪問看護計画を説明する。正解
成年後見人は本人の意思決定を支援する法定代理人であり、訪問看護計画を説明する相手として適切である。
- 2
地域の民生委員にAさんの経済状況を知らせる。不正解
民生委員に本人の経済状況を知らせることは、正当な目的・本人同意なく個人情報を提供する不適切な行為である。
- 3
Aさんの訪問記録を電子メールに添付して援助者間で共有する。不正解
訪問記録を電子メールに添付して共有することは情報漏えいのリスクがあり、安全管理上不適切である。
- 4
新たなサービスの利用を検討する他の利用者にAさんのケアプランを見せる。不正解
他の利用者にAさんのケアプランを見せることは、本人の個人情報を無関係の第三者に開示する不適切な行為である。
📚 ここも一緒におさえておこう
成年後見制度は判断能力が不十分な人の権利を守る制度で、判断能力の程度により後見・保佐・補助の3類型に分かれる。 本人に代わって誰が説明を受けるかとあわせて、本人の情報を誰にどこまで伝えてよいかも問われる。
- 申立てができるのは本人・配偶者・4親等以内の親族・検察官などで、身寄りがない場合は市町村長が申し立てられる
- 成年後見人の職務は財産管理と身上監護で、医療行為への同意権はない
- 個人情報保護法上、要配慮個人情報である病歴などの第三者提供には原則として本人の同意が必要
- 看護師には保健師助産師看護師法による守秘義務があり、看護師でなくなったあとも続く
| 類型 | 対象(判断能力) | 主な権限 |
|---|---|---|
| 後見 | 判断能力を欠くのが通常の状態 | 財産に関するすべての法律行為の代理権・取消権 |
| 保佐 | 判断能力が著しく不十分 | 重要な法律行為(借財・不動産の処分など)の同意権・取消権 |
| 補助 | 判断能力が不十分 | 申立ての範囲で家庭裁判所が定める同意権・代理権 |
参考: 個人情報の保護に関する法律/成年後見制度
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について