第112回 看護師国家試験 午前 問36 解説
📝 問題
臨死期の身体的変化はどれか。
✅ 正解
3
💡 解説
✅ 臨死期には下顎呼吸やチェーンストークス呼吸などの不規則な呼吸が出現する。
臨死期(死が近づいた時期)には、呼吸中枢の機能低下により呼吸のリズムが乱れ、チェーンストークス呼吸や下顎呼吸などの不規則な呼吸パターンが出現する。死前喘鳴もこの時期にみられ、いずれも死が近いことを示す身体的変化である。
他の選択肢は誤りである。臨死期は循環・腎機能の低下により尿量は増加ではなく減少する。全身の筋肉が硬直する(死後硬直)のは死亡後にみられる変化であり、臨死期のものではない。また末梢循環不全では、まず遠位の橈骨動脈が触れにくくなり、より中枢に近い頸動脈は最後まで触れることが多いため、「頸動脈が触れなくなった後に橈骨動脈が触れなくなる」という順序は逆である。
国試では臨死期・死の三徴候・死後の変化の区別が問われる。 脈は末梢(橈骨動脈)から先に触れにくくなる、という順序を押さえておくとよい。
チェーンストークス呼吸とは
小さい呼吸から徐々に大きくなり、また小さくなって一時止まるのを繰り返す呼吸。臨死期や重い心不全でみられる。
下顎呼吸とは
口を開けて下あごを動かすだけの、実質的に換気ができていない呼吸。死の直前にみられる。
死前喘鳴とは
のどにたまった分泌物でゴロゴロという音がする状態。死の数日前からみられ、本人は苦痛を感じていないとされる。
- 1
尿量が増加する。不正解
臨死期は循環・腎機能の低下により尿量は減少する。増加ではない。
- 2
全身の筋肉が硬直する。不正解
全身の筋肉が硬直する死後硬直は死亡後にみられる変化で、臨死期の変化ではない。
- 3
不規則な呼吸が出現する。正解
呼吸中枢の機能低下により、チェーンストークス呼吸や下顎呼吸などの不規則な呼吸が出現する。
- 4
頸動脈が触れなくなった後、橈骨動脈が触れなくなる。不正解
末梢循環不全では橈骨動脈が先に触れにくくなり、頸動脈は最後まで触れやすい。順序が逆である。
📚 ここも一緒におさえておこう
臨死期の看護では、身体の変化とあわせて、家族へのかかわりも問われる。
- 聴覚は最後まで保たれるとされるため、意識がないようにみえても声かけを続けることが家族へのケアにもつながる
| 時期 | 主な所見 |
|---|---|
| 臨死期 | 尿量減少、血圧低下、四肢冷感・チアノーゼ、橈骨動脈が触知しにくくなる、下顎呼吸・チェーンストークス呼吸・死前喘鳴、意識レベルの低下 |
| 死の三徴候 | 心拍動の停止、呼吸の停止、瞳孔散大と対光反射の消失 |
| 死後の変化 | 死後硬直(2〜3時間で始まり半日ほどで全身に及ぶ)、死斑(30分〜1時間で出現)、体温の下降、角膜の混濁 |
参考: 終末期ケアに関する標準的看護学教科書
出典:「第112回看護師国家試験の問題および正答について」(厚生労働省)を加工して作成 → 出典について